<軌道工事から土木、そして建築分野へ注力>
現在、同社の事業割合は土木工事が50%、軌道工事が40%、建築工事が10%。軌道工事分野で一定の水準が見込めるなかで、事業規模を拡大していくためにも、土木工事、そして現在は比率として低いものの潜在需要のある民間建築についても、今後力を入れていく方針だ。それは技術力に驕らず、良いものをより安くというニーズに応えていく必要があるからにほかならない。今後の業界像について、江村社長は「トンネル事故など、これまで建設してきた構造物の維持・管理が問われる時代になってきた。今後は、ビルドからメンテナンスへ建設の主体はシフトしていくのではないか」と語る。豊富な実績から、メンテナンス事業に絶対の自信を持つ同社が求められる機会も多くなりそうだ。
需要の減少や劣化などから、解体を求められる構造物がある一方で、日頃から利用され生活に不可欠なものも多く存在する。ただ、新たに建設するのとは違い、目安はあってもいつまでにメンテナンスするべきかという問いに明確な答えはない。だからこそ、そのための費用を捻出するのは、何か災害などがきっかけになることが多い。
ただ、同社が得意とするインフラ分野は1つの事故が大災害へとつながるケースも多く、発生してからでは遅い。定期的な点検はもちろんのこと、安全を確保するための工事は欠かせないのだ。同社が手がけるメンテナンス事業はまさにこれに当てはまる。数多くの老朽化問題を抱えた構造物において、同社の技術力がその真価を発揮していくことだろう。
土木に建築という、いわゆるゼネコンと呼ばれる機会が多い同社だが、その内容は他のゼネコンとは一線を画する。まさに「堅実」の一言に尽きる展開で、創業50周年を迎えた2012年度、そして13年度(見込値)において、売上は約132億円。創業以来最高の売上規模に達するほか、無借金経営を続けているなど、同社は福岡県下の建設企業のなかでも指折りの存在だ。インフラという普段の生活に密接な分野で、ニーズに地道に応え続けてきた成果が、堅実な建設企業として評価される所以だろう。苦難を乗り越えるたびに存在感を増す同社の活躍に、今後も期待してやまない。
(了)
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:江村 康博
所在地:福岡市博多区東光寺町1-13-5
設 立:1962年1月
資本金:1億1,000万円
TEL:092-441-5421
URL:http://www.sankikensetsu.com/
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JRグループという信頼と全国屈指の軌道工事における技術力を有する企業。豊富な教育・評価制度を設け、人材教育に注力するほか、インフラという生活に欠かせない分野で高い存在感を示している。
<PROFILE>
江村 康博(えむら・やすひろ)
1951年12月生まれ。76年4月、日本国有鉄道入社後、九州旅客鉄道(株)およびJRグループの役員を経て、2008年6月に同社代表取締役に就任。
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