<社員自ら考え、自ら動く意識を>
同社では、委員会が充実している。利益追求1%アップ委員会、新規開拓委員会、無事故交通安全委員会など、各委員会が目的達成のために意見を出し合う。
「上から押し付けても目的達成は難しい。社員で話し合って決めるように伝えている」(木原氏)と、各委員会から挙がってきた提案をもとに、全社で実行するか検討を行なう。自分たちで決めたことだからこそ、取り組もうという意識が働くのだ。
さらなる飛躍には、優秀な人材の獲得は欠かせない。新戦力として、採用したい人物像を木原氏に聞いた。「まず明朗活発。いわゆる体育会系は元気に挨拶でき、上下関係を理解して振る舞える。そして、素直さ。クレームが発生したら、すぐに報告できるか。最も重要なのは、問題が起きたときに、どのように解決するのかという問題解決能力。これ次第でクレームから信頼が生まれることもある。仕事は問題解決の連続。これが個人も企業も左右する」(木原氏)。新入社員が営業の戦力として計算できるまで、3年はかかる。同社では配送業に最低1年、早くてその後に営業に加わるという。
従業員は約70名で、平均年齢は36歳と若手が多い印象を受ける。新卒の定着率が高いのがその要因だ。
「社員間の意思疎通がしっかり取れている。同世代が切磋琢磨しながら、仕事だけでなく、余暇も楽しんでいる」(木原氏)。加えて、勤務状況もずいぶん変わった。以前は深夜まで仕事をしていたこともあったというが、今は違う。早く退勤するために、効率の良いやり方を社内で考え合う。さらに9時以降、パソコンは使えないようにし、例外を認めず9時までに仕事を済ませるように指示している。
「1人でできることは多くない。自分を中心に周りの人を活かしながら、仕事を組み立てていけば、効率は上がる。そうすれば自ずと売上も上がる」(木原氏)と、代表自らの経験をもとに、改善は進む。
「今後も企業として成長していくために、人材の育成が最優先だ」と木原氏。営業所の拡大を検討しており、次の所長候補数名のなかで競わせ、選ぶ予定だという。とはいえ、全体のレベルを底上げしない限り、候補者のレベルも上がっていかない。個人のレベルアップも同時に必要となってくる。
新しい試みが実を結んだ例もある。昨年、ある営業所の所長に、マネージャー経験のない社員を抜擢した。未経験の社員に任せてみないと、次世代の者に経験が蓄積されない。失敗は覚悟のうえと、責任は取るつもりだったが、周囲の心配をよそに、その営業所は前年比140%の売上を計上し、手ごたえを感じている。
<現状維持でも組織強化を優先する>
目指すは100億円企業。しかし、「売上だけ伸びて、中身がともなっていなければ意味はない。順調に売上高は伸びているが、なかにいる人間はまだそのレベルに達していない」と木原氏は感じている。また、売上は時代に左右される部分も大きいと、現状には満足していない。
「現状維持でも中身をともなった組織をつくり上げて、次のステップに行きたい。売上からすると、相応の規模に成長してきたと言えるが、中身はまだまだ改善の余地が大きい。これまでは現会長の強力なリーダーシップで、全体を引き上げてきた。そのおかげで、今の三共電気があるのは間違いないが、今以上に拡大を図っていくためには、組織力の向上が欠かせない」としたうえで、「個人が能動的に考えて動く集団にする」と語る。これが第2創業期の最重要課題である。
(了)
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:木原 和英
所在地:福岡市西区福重1-14-25
設 立:1976年6月
資本金:7,200万円
TEL:092-883-8588
URL:http://www.sdkk.jp/
<PRESIDENT PROFILE>
木原 和英(きはら・かずひで)
1968年2月生まれ、福岡市出身。87年に三共電気(株)に入社。その後2000年4月に南営業所所長兼営業本部長、03年5月に取締役営業部長、10年7月に取締役常務を経て、13年7月に代表取締役に就任。趣味はゴルフ。
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