武田薬品は世界制覇を狙う布石を打ってきた。今から思えば"己を知らない大それた野心、まるでドンキホーテ"と馬鹿にされてもおかしくない話であった。そして今やっている行為は詐欺師同然のものだ。新薬許可を巡る行為は税金泥棒と言える。そして内紛が生じた。
<武田薬品、創業一族が外国人社長の反対に決起>
経済同友会代表幹事として財界人のトップに立つ長谷川閑史(やすちか)・武田薬品工業社長(67)が絶体絶命のピンチに立たされている。
6月27日の株主総会で、武田薬品は233年の歴史始まって以来となる外国人社長を選出する。世界6位の英製薬大手グラクソ・スミスクライン(GSK)のグループ会社社長クリストフ・ウェバー氏(47)を社長兼最高執行責任者(COO)に据え、長谷川氏は会長兼最高経営責任者(CEO)に就く予定である。
ところが、総会を前に、株主である創業一族やOBらは、ウェバー氏が社長に就くことに関する異例の質問状を経営陣に渡した。事実上の反対表明だ。27日の総会で、長谷川氏がこの質問に直接答えるという。
製薬業界は「創業家の乱」の話題でもちきりだ。ただし、武田家本家である前社長の武田國男氏(74)は乱には関与していない。國男氏は2009年6月の株主総会で取締役を退任し、相談役や顧問にも就かず、一株主になった。総会での國男氏の退任の弁は「私の仕事はすべて終わった」だった。潔い引き際として絶賛された。
総大将は表面には出ていないが、家の子郎党らによる乱である。創業者一族を長谷川社長打倒に立ち上がらせたものは何か?
<外国人社長は、外資による「乗っ取りだ」>
質問権を行使するのは112人。その大半は武田OBで、創業家一族も10人以上名を連ねているという。『週刊ダイヤモンド』(6月28日号)は「病める製薬、王者タケダの暗雲」と題する特集記事で、質問状を全文載せている。質問状は次の7項目。
(1)米バイオ企業ミレニアム・ファーマシューティカルズ買収の失敗に対する責任の所在
(2)スイスの製薬会社ナイコメッド買収の失敗に対する責任の所在
(3)グローバル化の在り方、および国内技術者のモチベーションが低下する経営への疑問
(4)長谷川閑史社長の後任に外国人であるクリストフ・ウェバー氏を選んだことへの疑問。
(5)外国人が多く占める経営幹部会議を重視して取締役会を形骸化していることへの疑問
(6)高配当金継続により財務が悪化することへの懸念
(7)糖尿病薬「アクトス」に関して、米連邦地方裁判所が武田に60億ドルの賠償を命じた陪審評決への対処と責任の所在
力点が置かれているのは(4)である。「ウェバー氏が社長になり、武田薬品が海外の有力大手に買収される事態になれば、極めて優良な創薬技術が国外に流出する可能性が発生する」「武田薬品の研究者の社外流出が危惧され、結果的には電機大手の二の舞になる」と警告。
ウェバー氏の社長就任を「外資の乗っ取り」と断じ、「財務と研究開発を外国人に任せることは、決して許していけない」と強調している。
(つづく)
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