<「選挙公報=公約ではない」>
保育士や保護者の反対を押し切り、風俗街への中央保育園移転という荒業で『待機児童ゼロ』を達成した福岡市長・高島宗一郎氏。あたかも公約を達成したかのごとく自慢気に語っているが、初当選時の2010年11月福岡市長選の選挙公報では、待機児童ではなく未入所児童の解消を目指すとうたっていた。6月23日、市議会側からこの点についての指摘された高島市長の口からは、「選挙公報、イコール公約ではない」といったとんでもない発言が飛び出した。政治家としての資質が問われる事態だ。
予想外の答弁に議場・傍聴席は騒然となった。選挙公報と実際とのズレを指摘したのは、共産党市議団の中山郁美市議。選挙公報の内容に関する厳しい質問に、市長は当初応えられず、議会は一時中断。再開後、高島市長は、「選挙公報は公約を書き写すものではなく、たくさんあるなかから切り取ってわかりやすく表現するもので、イコール公約ではない」と答弁した。
選挙公報とは、地方自治法167条にもとづき、候補者の氏名、経歴、政見などを掲載。小選挙区選出の衆議院議員、選挙区選出の参議院議員、都道府県知事の選挙で1回の発行が定められている。市町村長の選挙では同法172条2で発行してもいいことになっており、有権者が各候補者を吟味し、投票先を判断するうえで重要な資料である。
前回の福岡市長選挙では、高島市長を含めて8人が立候補。その時の選挙公報を見ると、高島市長以外の候補者の公約には、「公約」「約束」「マニフェスト」といった言葉が明記されている。これを見て、「公約ではない文章」ととらえる有権者がはたしているのだろうか。議会を傍聴していた60代の女性は、「自分が言ったことも覚えていない。選挙公報は公約じゃないというのなら嘘つきだ。政治家の資格はない」と語った。
【吉井 陸人】
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