<武田薬品はメガファーマのM&Aの標的になる>
日本企業トップに外国人が就任することは、そう珍しいことではない。日産自動車のカルロス・ゴーン氏やソニーの前CEOのハワード・ストリンガー氏などが有名だ。外国人社長と外資によるM&A(合併・買収)に結びつけることには論理の飛躍があるが、それでも、創業一族やOBたちが、「乗っ取り」と断じたことは意外な反応ではなかった。
長谷川氏が昨年11月30日、「後任としてウェバー氏を2014年6月の株主総会で代表取締役社長に招き、その1年後にCEO(経営最高責任者)を譲る」と発表して、「老舗に初の外国人社長」と話題になった。
その時、筆者は「コダマの核心レポート」(2013年12月3日、4日付)でこう書いた。
〈今後、さらなるM&Aの幕があがるのは確実だろう。世界の大手メーカーは、2010年前後に自社のブロックバスターの米国での特許が相次いで失効したためだ。トップのファイザーは最主力製品の高脂血症薬リピトールの特許が切れて、1割以上の減収になった。
特許失効か響く欧米のメガファーマにとって、成長軌道に戻す手法は、得意とするM&Aである。外国人経営者で占められる武田薬品は、欧米のメガファーマのM&Aの格好なターゲットになる〉
製薬業界では年商1,000億円超の医薬品を「ブロックバスター」と呼ぶ。ブロックバスターが相次いで失効した結果、製薬業界はM&A時代を迎える。前回のレポートでは、「武田薬品は間違いなくM&Aの標的になる」と書いた。
というのは、武田薬品ほどメガファーマの食指をそそる企業はないからだ。外資に狙われるのは、世界的に寡占化が進む業種で、競争力があって時価総額の低い優良企業だ。この条件にピッタリなのが製薬業界であり、武田薬品である。欧米のメガファーマが武田薬品ターゲットにしているという情報は、かねてからあった。
(つづく)
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