2014年6月12日に開幕したサッカーワールドカップ・ブラジル大会。世界最高レベルの試合が行なわれているブラジルの各主要都市は熱気に包まれているが、ちょうど地球の真裏にある日本有数の歓楽街・中洲でも連日熱き戦いが繰り広げられている。しかも、ある店では、『延長は時間制限ナシ』という特別ルールが存在するとのウワサ。一体どういうことなのか、潜入取材を試みた――。
<レジェンドがサポーターに!>
噂の出処は、テレビでもおなじみの中洲交番の前、RBコア中洲ビル7階にあるスナックだった。店名は「VIDA(ビダ)」。サッカーファンであり、他にスポーツバーも経営するオーナーが店をオープンさせてから8年、1~2年で入れ替わる店も少なくない中洲では、一定の支持を受けている存在と言える。1,300軒の飲み屋が営業する中洲は、誰もが小さい頃からプロサッカーを目指して道端でボールを蹴っているブラジルと同様の厳しい競争地帯である。
期待感を胸にドアに開けると、どことなくロックな感じの店内へ迎え入れてくれたのは良い意味で「ベテラン」の言葉がふさわしくない"選手たち"だった。
「VIDA」を切り盛りしているのは、平成生まれの洋子ママ25歳。中洲のママでは最年少クラスになるが、その実力は本物。目の前のカウンター客に優しい微笑みで応対しながら、ボックス席の団体客の様子も把握し、女の子に正確なキラーパス(指示)を出す。どんな位置からでも一瞬で客を和ませてしまう優しい微笑みは、さながら無回転のフリーキック。まさに司令塔だ。
洋子ママのパスを受けて前線で活躍するスタッフも名プレーヤーばかり。高速ドリブルを彷彿とさせる手際良いマドラー回しで水割りをつくり、絶妙な盛り上げ方で、気分よくカラオケを歌わせてくれる。若い力が中心になって中洲の夜を盛り上げている「VIDA」だが、30代後半から50代までのサポーターを熱狂させる強みも合せ持っている。同店の監督(オーナー)の趣味だが、店内の基本BGM(サポーターソング)は、日本の音楽界のレジェンド、BOΦWY。もちろん、店の選手たちと一緒にカラオケで熱唱してもいい。
この店なら、誰もが時間を気にせずに思いっきり楽しみたくなるはず。なんと、「VIDA」はお客様視点に立ち、『延長すれば時間無制限』(ただし、閉店まで)という特別ルールが用意されている。残念ながら時差があるため、今回のW杯の試合を同店で観戦することはできないが、運の要素があるPK戦ではなく、納得のいくまで飲むことができる。リオのカーニバルも顔負けのテンションで中洲の夜を心ゆくまで楽しんでみてはいかが?
【長丘 萬月】
<SHOP INFORMATION>
VIDA(ビダ)
所在地:福岡市博多区中洲4-2-16 RBコア中洲7F(地図)
TEL:092-282-7018
営 業:午後8時~
料 金:60分4,000円(午後11時以降は60分5,000円)
延 長(フリータイム):5,000円(2名以上は1人4,000円)
その他:カラオケ1時間1,000円
URL:https://www.facebook.com/VIDA7018
<プロフィール>
長丘 萬月 (ながおか まんげつ)
福岡県生まれ。海上自衛隊、雑誌編集業を経て2009年フリーに転身。危険をいとわず、体を張った取材で蓄積したデータをもとに、働くお父さんたちの「歓楽街の安全・安心な歩き方」をサポート。これまで国内・海外問わず、年間400人以上、10年間で4,000人の風俗関係者を『取材』。現在は、ホーム・タウンである中洲に"ほぼ毎日"出没している。
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