<市PRを通して便宜供与>
高島宗一郎福岡市長の思いつきでスタートしたプロモーション事業「福岡市カワイイ区」。民間のイベントなどで、「カワイイ区長」のミカエラ・ブレスウェート氏に出演依頼をした場合、ギャラが必要となり、その金額を市が把握していないことがわかった。市民が納めた税金で作られた「カワイイ区長」という看板で、一部の業者に勝手に商売をさせていることになる。「便宜供与」も決して過言ではない。
この問題について、25日に開かれた福岡市議会の一般質問で、福岡市民クラブの調崇史市議が追及した。カワイイ区長の出演について市側の答弁は、(1)広告代理店との委託契約外の内容は個別対応、(2)ギャラは依頼した団体とミカエラ氏が所属する芸能事務所で交渉、(3)市主催のイベントでも委託契約外ならギャラが発生する、といったものだった。「カワイイ区長」に出演依頼をする場合は、市にイベントの内容などを説明した上で、ミカエラ氏の芸能事務所への紹介を受け、その後、ギャラの交渉に入るという流れ。
「福岡市カワイイ区」の専用ホームページをはじめ、同事業には、すでに3,000万円以上の税金が投入されている。うち2014年度の予算は1,274万4,000円。前年度から引き続き、2代目カワイイ区を企画した(株)ビービーディオー・ジェイ・ウェストに委託している。この上、市が与えた「カワイイ区長」の看板にギャラが発生するという。もはや、誰のための事業かわからない。
「カワイイ区」の後援でプロモーション活動を行なった業者は、「ミカエラ区長に来てもらおうと考えたが、市担当者から有料であると聞き、さらに『無理だと思いますよ』と断られた」と語る。ちなみに、熊本県の人気キャラクター「くまモン」に出演依頼をした場合、「場所によっては交通費をいただくことがあるかもしれませんが、出演料はいただいておりません」(熊本県・くまもとブランド推進課)という。
同事業について「役所が頭を使った形跡が見当たらない」「徹頭徹尾、代理店に丸投げ」と、厳しい言葉で問題性を指摘した調市議。「カワイイ区事業は今すぐ廃止すべき」と主張。一方、同事業の発案者である高島市長は、「企業のみなさんの活用の段階に入っている」などとして継続する考えを示している。
【山下 康太】
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