<若い人材をじっくりと鍛え、業界の担い手を育成>
建設業界は長らく低迷していたが、昨今では需要の高まりなどから市況は好転している。建設関連企業の受注は大きく伸びており、ゼネコンのなかには施工能力を超えた受注によって工期が遅れる業者の姿も見られる。そんななか、同社代表の園村氏は、「『堅実経営』のおかげもあり、弊社では下請業者の不足に悩むことはありませんでした。しかし、今後のことは考えなければいけません」と語る。
続けて、「とくに弊社では30代の人材が少ないので、今から若手の人材を募集し、業界の担い手となる新しい世代を育成していかなければなりません。しかし、現状ではこの業界に入ろうとする若者は少ないと思います」と言う。
たしかに建設業界は、業界環境の変化や談合などのマイナスイメージのほか、いわゆる「3K(きつい、危険、きたない)の職種」と言われることもあった。しかし、現在では建設業に限らずさまざまな職種で、職場環境が悪化しているように思われる。若手が短期間で能力を試され、一人前に成長する前に解雇されるなどという話を耳にすることも珍しくはなくなった。そういった現状を踏まえてもう一度考えてみると、活況に沸く建設業界は決して悪い職業ではない。
「たとえば、『汚い』といった昔のイメージがいまだに残っているようですが、実際は現場で清掃などを行ない、常に清潔にさせています。今は、汚れた服装をした現場監督なんていませんし、第一そのような格好ではお客さまの前に出れませんよ(笑)。また、職場環境についても決して悪いものではありません。建設業界は人材をきちんと育てようという動きがありますし、弊社でも十分に教育し、絶対に無茶なことはさせていません。最近思うのは、若い人材にもきちんと責任を持たせた方がいいということです。そのため、入社からだいたい3~4年をメドに現場を任せるようにしています。若手も『自分に任された以上、仕事をきっちりこなしたい』と考えるでしょう。ですが、やはり不安もつきないでしょうから、現場で職人さんたちと相談しながら仕事を進めます。真摯な気持ちで取り組むため、最終的に下請業者さんからは『サンコービルドさんの現場は仕事がしやすい』とよく言われます」(園村氏)。
若手が仕事を覚えてきた段階から現場管理を任す中・長期的な育成方法で、技術だけではなく、仕事を進めるうえで必要な姿勢、コミュニケーション能力など、どの職業でも大切な技術まで学ぶことができるというわけだ。
<追い風が吹く建設業界、若手に求めるモノとは>
同社の2013年3月期の売上高は65億2,147万円。14年3月期の売上高見込みは約85億円と好調に推移している。来期は90億円を目指すとしている。医療介護建築に強みを持たせながら、福岡・九州を中心に堅実な経営を続けてきた同社。近年は東京再進出や大分進出など、今後の展開に注目が集まっている。
こうした状況下で、同社が求める若手の人材像を聞いてみると、「指示されたことをただこなすだけではなく、『この業界で上り詰めてやろう』というくらいの独立心を持った人材に来てもらいたいですね。そういった気概を持った人間が最近少なくなってきましたので、ぜひ業界の牽引役となるような人材を弊社でも育てていきたいと思います」(園村氏)との答えが返ってきた。
「衣」「食」「住」は、この先かたちが変わったとしても絶対になくなることはない。その1つ「住」に関連する仕事も、当然のごとく決してなくなることはないだろう。将来を悩む若者たちは、ぜひこの機会に建設業という門戸を叩いてみてはどうだろうか。
(了)
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:園村 剛二
所在地:福岡市博多区博多駅前1-31-17
設 立:1972年8月
資本金:9,900万円
TEL:092-414-6610
URL:http://www.sanko-bld.co.jp/
<PROFILE>
園村 剛二(そのむら・ごうじ)
1950年6月生まれ、福岡県出身。82年4月に三鉱建設工業(株)(現・(株)サンコービルド)に入社。2002年6月には取締役に就任。その後、常務取締役(08年6月)を経て、09年4月に代表取締役社長に就任した。趣味はゴルフ。
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