<外資へ売り渡すと見なされた外国人社長の起用>
創業者一族の武田國男氏が、最も恐れたのは外資による乗っ取りである。巨大外資からのM&Aを防止するために、世界のトップテン入りを目指した。國男氏の後を継いだ長谷川氏は2011年に1兆円を投じてスイスのナイコメッド社を買収したが、それでも、悲願としてきたトップテン入りに手が届かない。
国内最大の武田薬品でも、世界では準メガファーマ扱いだ。買収する側ではなく、買収される側だ。経営トップが外国人になれば、いつメガファーマから買収提案されても不思議ではない。
情報誌『FACTA』(7月号)は、國男氏と親交がある製薬会社幹部の話を伝えている。
〈長谷川が外国人を後継社長に指名したと聞いて、「武田を成長させてくれと頼んだが、外国人に売り渡せとは言っていない」と漏らしたという〉
お家騒動にしたくないため、國男氏が長谷川氏の批判を口にすることはなかった。國男氏の憤りの声が伝わってきたのは、これが初めてだ。外国人社長をスカウトしたことで、虎の尾を踏んでしまったようだ。
創業者一族とOBたちが、長谷川氏とウェバー氏の反対に決起した。27日の株主総会が修羅場になるのは必至だ。
(武田薬品の項・了)
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