6月26日に開かれた九州電力の株主総会で、株主から原発廃炉などの提案が出された。提案したのは、九電消費者株主の会の株主で、原発周辺自治体の避難計画が策定されるまで原発を稼働しないことや、川内原発の廃炉などを求める5つの議案を事前に提案していた。取締役会は、「川内原発の耐震安全性に問題がないことを確認している」などとして、いずれも反対の意見を表明。株主総会でいずれも賛成少数によって否決された。
消費者株主の会は、「川内原発は危険であり、再稼働すれば株価はさらに下がる」「原発の安全対策費にかけている3千数百億円で、3割配当ができる。リスクが大きい無駄な投資をするより、原発からの撤退が賢明な選択」と、株主らに訴えている。
代表の木村京子さん(66)は、株主総会に臨むにあたって、「規制委員会も政府も電力会社も安全に対し誰も責任を持たないまま再稼働を進めようとしている。『国は悪いことをしない』と思っている株主に、原発推進について疑問に感じてもらい、(九電の)空気を変えたい」と話していた。
「九電は『ずっと先まで明るくしたい』というが、原発があることによって、私たちはお先真っ暗。事故が起きたら、住めなくなり、故郷を追われ、過去も現在も未来も何もかも失う」と語るのは、消費者株主で、大分市の島田雅美さん(67)。「大分にも原発事故で避難してこられた人がいるが、『原発さえなければ』とおっしゃる。避難の元になる『難』、原発をなくすのが一番だ」と訴えた。
株主総会が開かれた福岡市のホテル・ニューオータニ前では、市民ら約80人が集まり、株主や取締役らに再稼働反対を呼びかけた。福岡県内だけでなく、熊本原水禁、かごしま護憲平和フォーラムなど、九州各県、山口県からも集まり、「天災は止めることができないが、原発は止めることができる。株主のみなさん、九電が存続するためにも、原発を止めて、再生エネルギーにシフトしましょう」など、原発再稼働反対の気持ちをこもごも訴えた。
参加者らは株主総会が始まると、同市・天神までデモ行進をして、「危険な原発、今すぐ廃炉」「火山と地震はどうすると。避難計画はどうすると」と唱和した。
消費者株主の会が提案した議案は、定款の一部変更として、「原発の再稼働にあたっては、当該自治体において実効性ある避難計画が策定されたと判断されるまでの間、これを行なわない」「川内原発の近傍に、相次いで活断層が確認された。近い将来、M7.3規模の直下地震に襲われる可能性が否定できない。よって、川内原発の速やかな廃止措置を取ることとする」との条文を新設・追加するように求めていた。ほかにも、熱電供給システム(コジェネレーション)に取り組むこと、核燃料サイクル事業から撤退する意思を明確にするために日本原燃と原燃輸送への出資などの中止、総括原価方式の見直しを定款に追加することを求めた。
【山本 弘之】
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