式典であったりイベントであったり、そこで高島宗一郎福岡市長を初めて見た人はきっと好感を抱くだろう。とりわけ固いイメージをまといがちな市長という役職に就く人物が、ユーモアを交えて軽快に話していれば、それだけで「この人、いいな」と思うのも無理はない。問題は、中身がともなっているかどうかだ。
まずは高島市長が市民にどんな姿を見せようとしているのか、イベントに出席した際の動画を観て頂きたい。
【「軍師官兵衛」特別展プレイベント】
『「軍師官兵衛」を見ている方、手を挙げてください』と言った後、「『MOCO'Sキッチン』を見ている方~」とボケて、「そっちのが多いのおかしいやろ!」とツッコむ。客席からが笑いも起こっている。
【福岡アンパンマンこどもミュージアムinモール】
おなじみのアンパンマンマーチに合わせて手拍子をして体を揺らしている高島市長。保育所移転や「待機児童0」などと問題を起こしておきながら、よくぞこの場に顔を出せたものだ、と思うが、子どもたちや何も害を被っていない保護者の目には「良い市長」に写るかもしれない。
ここからが本題だ。次の動画は、6月23日に開かれた定例会での一般質問の中で、中山郁美議員(共産党)が「待機児童0」について、「選挙公報は公約ではないのか」と高島市長に問うている場面。
【福岡市議会平成26年第3回定例会(6月23日本会議その3)】
高島市長の答弁では「私の公約に関しては公約発表会見できちんと発表したものです」と、選挙公報に書かれたものについては確認できないと述べるばかりで、求められた答えになっていない。
これでわかるのは、福岡市の全戸に配布される選挙公報よりも、特定メディアしか扱わない公約発表会見を重視していること。要するに、人前で話すことそれ自体に重きを置いて、中身については二の次ということだ。
議会が開かれる前に質問する議員とそれを受ける当局は打ち合わせをし、何が分かっていて何が分かっていないのか事前に確認をするのが通例。高島市長はこの質問について何も予見できなかったと言い訳をすることはできない。中山市議によれば、保育問題について選挙前に自身が何を言っていたかよく精査しておくように、と事前に通知していたという。市長は、通知を受け取っておきながら準備を怠ったのだ。もっとも市長選の時期、高島氏が「待機児童」と「未入所児童」の違いがわかっていたかというと、どうもあやしい。
高島市長は、市民の暮らし向きには興味がないようだ。様々なイベントに積極的に顔を出し、明るく陽気な姿を市民にアピールすることには余念がないが、市議会では無能ぶりをさらけ出してばかり。議員が市長に答弁を求めても、当局の局長が答えるばかり。たまに答弁に立っても、手元の紙を読み上げるだけで、市長自身の意見や熱意が全く伝わってこない。ここで紹介した動画を見れば、いかに高島市長が中身のない政治家であるか、お分かりいただけるだろう。
市議会定例会の一般質問。富永周行議員(維新の会)に次期市長選への出馬について尋ねられた高島市長は、「現職として取り組まねばならない課題に全力で取り組んでいるところ」と答弁し、意思表示をためらった。出馬表明に向けた環境づくりが遅れているせいもあろうが、この程度の政治家に8年間も150万都市の舵取りを任せるのは間違いだ。イベントやテレビで観る市長の姿に、その実像は映し出されていないのだから・・・。
※記事へのご意見はこちら