だが「ブーメラン」も覚悟しなくてはいけない。ネットでは塩村氏がバラエティ番組に出演した際の「つきあった男性から1,500万円慰謝料をもらった」発言などから、塩村氏の人間性を批判する意見が出ている。もっともこれらは都議になる前の話として、塩村氏の政治家としての資質と関係ないとしても、昨年の都議選では選挙事務所賃貸料不払い事件も発覚しているのだ。これは写真週刊誌が報じたものだが、塩村氏は200万円の家賃を支払わなかった(後で50万円は同党衆院議員の三谷英弘氏が支払った)上に、「タダで貸してもらえると思った」や「自分は又借人(借主は三谷氏という意味)」などという言い訳がはっきり書かれている。このような理屈が世間に通用するわけはない。
さらに今年4月、週刊文春で塩村氏と三谷氏のスキャンダルが報じられた。「三谷氏は週刊誌の記事に反論はしたが、訴えてはいない。記事がまるっきり嘘なら、必ず潔白が証明されて勝訴するはず。三谷氏は弁護士資格を持つのに行動しないのは、いかにも不自然だ」と、永田町関係者たちはみな首をひねる。
また、渡辺氏の懸念通り、結いの党の手がみんなの党に伸びている。「みんなの党の連中はかつての仲間だ。一緒にやっていくことにやぶさかではない」と、結いの党のある議員は話す。「すでに、大熊、佐藤など数名が結いの党の江田代表と食事したという話がある。引き抜きのための接触だ」と、みんなの党の関係者も話す。
そもそも江田氏は今年の夏に日本維新の会の橋下グループと合流することを宣言している。とすれば通常国会が終わった今、一気に勢いを増して動いていかなければ間に合わない。こうした党の危機を、はたして浅尾氏が乗り越えられるのか。前代表の渡辺氏は浅尾氏には無理と見て、復権を虎視眈眈と狙っている。一時は「公明党に代わる第三極」を目指したみんなの党だが、その末路は哀れなことこの上ない。
(了)
【永田 薫】
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