ホテルオークラは5月30日、2014年3月期連結決算を発表。売上高は前期比11%増の682億円、当期利益は同29%増の30億9,500万円と、連結決算を始めた1981年以降で過去最高を記録した。そうしたなか、62年の開業以来、半世紀以上にわたり国内外から宿泊客を集める「ホテルオークラ東京」が、本館部分の建て替えを決めた。果たして、どう変わるのか。
観光庁が3月に発表した宿泊旅行統計調査(13年10月~12月)によれば、当期の日本人延べ宿泊者数は約1億630万人(前年同期比2.3%増)に対し、外国人は約870万人(同30.6%増)と、外国人宿泊者の伸びが顕著だった。国籍(出身地)別外国人延べ宿泊者数の伸び率では、中国(同128.2%)、昨年ビザが緩和されたタイ(同98.7%増)マレーシア(同80.7%増)が大幅に拡大。
また、13年年間値(暫定値)では、日本人延べ宿泊者数は約4億2,281万人(前年比2.3%増に対し、外国人は約3,324万人(同26.3%増)で、ともに「07年の調査以来、最高値」(観光庁)
追い風を受けるなかで、建て替えを決めたホテルオークラ東京は、2015年8月末で本館を閉館。別館は継続営業する。新本館は、地下6階・地上38階建ての高層棟と、地下6階・地上13階建て、高さ約85mの低層棟の2棟で構成され、両棟は地下でつながる。低層棟のメインはホテル。高層棟は、地下に宴会場、駐車場、1~3階にロビー、エントランス、婚礼付帯、レストラン、フィットネス、スパなどを設け、4~21階にオフィス、22階が切り替え階で、23~38階に客室が配置される計画。
「建築費、周辺整備、解体費なども含めて、総工費は1,000億円を若干超えるくらいを見込んでいます。今回、報道で取り上げていただくなかで、『高層棟のなかに入るホテル』という捉え方をされることもありましたが、低層棟にも客室はあり、高さを抑えて新しく増やす緑地との親和性を図っています。ホテルオークラの伝統的な建築がお客さまから評価されており、日本的な美は継承します」(ホテル担当者)
なぜ、本業ではないオフィスを併設することになったのか。
「ホテル単体での運営は、経営の安定性に欠くためです。安定した収入を確保するため、オフィスを入れます。ホテル業は世間の動向に相当左右されます。とくに東日本大震災後は、ホ業界全体が落ち込みました。収益を安定化させたほうが、より積極的な経営ができると考えた結果です」(ホテル担当者)
(つづく)
【大根田 康介】
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