ホテルオークラは5月30日、2014年3月期連結決算を発表。売上高は前期比11%増の682億円、当期利益は同29%増の30億9,500万円と、連結決算を始めた1981年以降で過去最高を記録した。そうしたなか、62年の開業以来、半世紀以上にわたり国内外から宿泊客を集める「ホテルオークラ東京」が、本館部分の建て替えを決めた。果たして、どう変わるのか。
ホテルオークラ東京が提出した『環境アセスメント評価書案』によれば、敷地面積は2万6,200m2、延べ床面積はホテル9万7,400m2、オフィス9万m2の計18万7400m2を想定している。敷地内にある、国の登録有形文化財でもある美術館「大倉集古館」の改修工事も計画しており、今年4月から約4年間の予定で休館している。
基本計画は、谷口建築設計研究所、大成建設、日本設計、観光企画設計社、森村設計、NTTファシリティーズの6社が担当。今後、基本設計および実施設計に移る。施工者は未定。15年8月末の閉館後、9月から解体・新築工事に着手し、東京オリンピック・パラリンピックを目前に控えた19年2月末に竣工、同年春の開業を目指している。
「今回は(株)ホテルオークラと公益財団法人大倉文化財団の共同事業になります。デザイナーなどはこれから選ぶことになります。ガラスのカーテンウォールなどで周辺に威圧感を与えないような計画です。また、敷地のうち、緑地を1万3,000m2、つまり約半分配置します。今よりも緑に囲まれた景観になります」(ホテル担当者)
緑の配置は(画像)のようになる。この緑地は人工地盤の上に作られ、その下には駐車場520台が配される計画となっている。
虎ノ門地区一帯は再開発が進んでいる。たとえば、ホテルオークラ東京の北側、虎の門病院、国立印刷局本局・虎の門工場、共同通信会館が建つ区域では、UR都市機構による再開発「(仮称)虎ノ門二丁目計画」の概要が進んでいる。延床面積約25万5,000m2、最高高さ179mのオフィスビルや虎の門病院の新病院が建設され、2024年度に全体が竣工する予定だ。
また、6月11日には東京都と森ビルの共同事業で「虎ノ門ヒルズ」が開業。ますます活況を呈しそうだ。
「近接したいくつかの街区が再開発にかかりますので、そことの連携は考えながら建て替えは進めます。行政の指導もありますので、歩行者のネットワーク、緑地の入り口、バリアフリーなどは意識して利便性を追求していきたいです」(ホテル担当者)
ただ、ホテルオークラ東京の建て替えは、近隣で行なわれているような再開発事業ではなく、あくまでオークラと財団法人の共同事業。法定再開発の仕組みを使うわけではない。東京都には、高層化による再開発を促進する「再開発等促進区」という都市計画手法があり、これを使って容積率の割り増しなどは受ける考えだ。
「容積率は700%弱になる予定です。ビルの高さは195メートルですが、土地が高台にあり、計画敷地のなかで20mの高低差があります。そのため、外観はもう少し高い建物になるでしょう。虎ノ門ヒルズさんは247mありますが、50m以上の差があるということにはならないと思います。眺望を楽しみたいというお客さまのニーズにもお応えしたい」(ホテル担当者)
(つづく)
【大根田 康介】
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