福岡商工会議所(福岡市博多区、末吉紀雄会頭)では、4月の消費税率引き上げ後の中小企業を中心とする事業者への影響について、会員事業者アンケートおよび会員事業者への巡回相談から、調査結果をまとめた。同調査は、福岡市内に本社・本店を有する同所の会員企業1,000社を任意抽出し対象としたもので、調査期間は2014年6月2日~6月10日。回答数は126社(回答率12.6%)であった。
調査によると、概ね7~8割の事業者が増税分を転嫁できている結果となった。売上・利益についても、アンケートでは7~8割が横ばいか増加となっており、増税前の懸念に対して、影響は限定的となった。これは、同所が会員企業に対して実施してきたセミナーや対策相談の施策が一定の効果を発揮したものとしている。
しかし一方で、競争の激しい卸売業や価格引き下げ要求を受けやすい製造業などを中心に、2割程度の事業者が増税分の一部または全部を転嫁できていないとの結果も出ている。なお、価格転嫁できていない事業者に限れば、6割を超える事業者で利益が減少しているとのアンケート回答があった。
来年10月には消費税率10%への再引き上げが予定されていることから、同所では中小・小規模企業の実態把握に努め、「経営改善」「販路開拓」等に関するセミナーや、販路拡大や商品開発に寄与する「商談会」の実施、さらに国等の各種支援策の活用促進に注力していく、としている、
【引き上げ後の売上への影響に関するコメント(一部抜粋)】
3月は増税前仕入れをする事業者からの発注が多く前年より10%伸びたが、4月になってからは受注は動きが鈍い。公共工事にともなう受注分があるため、今年度の売上は横ばいまたは前年増を見込む。来年度以降については見通せない。<建築材料卸売>
インターネット販売では駆け込み需要が見られたが、店頭販売ではなかった。4月以降は、インテリア家具など高額商品については値上げ感が強く売れ行きが落ちたが、雑貨類については影響を感じられない。
<家具・建具・畳小売業>
定期的に販売している有効期間3カ月の3,000円の食事チケットが、通常は300枚くらい売れるが、3月は500枚販売した。4月から価格を上げたが、客足への影響はまだ判断しがたい。
<専門料理店>
■消費税率引き上げにともなう会員事業所アンケート
対 象:福岡市内に本社・本店を有する福岡商工会議所会員企業1,000社を任意抽出
期 間:2014年6月2日~6月10日
方 法:調査票の発送・回収ともFAX
回答数:126社(回答率12.6%)
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