ホテルオークラは5月30日、2014年3月期連結決算を発表。売上高は前期比11%増の682億円、当期利益は同29%増の30億9,500万円と、連結決算を始めた1981年以降で過去最高を記録した。そうしたなか、62年の開業以来、半世紀以上にわたり国内外から宿泊客を集める「ホテルオークラ東京」が、本館部分の建て替えを決めた。果たして、どう変わるのか。
6月にオープンした虎ノ門ヒルズのハイアット系ホテル「アンダース東京」が、話題をよんだ。と同時に、ホテルオークラとの競合性が一部で報じられ、関係者の間で顧客争奪戦が注目されている。
「アンダース東京さんのことはよく聞かれますが、その進出があったから建て替えを計画した、という因果関係はありません」(ホテル担当者)
ホテルオークラには、創業理念として、「ベストACS」(アコモデーション、クイジン、サービス)というものがある。
「62年に開業して以来、最高の施設空間、料理、サービスを提供してきたと自負しております。時代とともにAの部分に競争力をさらに付ける必要があるだろうということで、本館を刷新する。近いから競合すると考えるより、当ホテルは創業理念に基づいて最高のACSを提供していきたい」(ホテル担当者)
アンダース東京は5~6万円スタートだが、ホテルオークラ東京はまだ建て替え後の値決めはしてないようだ。
もう1つ気になるのが立地。駅から少し離れていることも、客足が向きにくい要因ではないかと指摘する報道もある。
「駅から遠いという立地条件はたしかにあり、駅からの遠さはプラスにはならないかもしれません。ただ、宿泊に関しては、平均稼働率は79%くらいでご愛好いただいていますし、むしろ都会のオアシスとして、閑静なたたずまいもあり、不利だとは思っていません」(ホテル担当者)
同ホテルでは、毎日25日、本館ロビーでコンサートを無料で行なっている。普通のホテルならロビーをバーやラウンジなどにしてお金をとるところも多いが、同ホテルは無料でロビーを開放している。
「おかげさまで、周辺のお客さまに来ていただいています。これだけ再開発地区があると、食事する場所が減るかもしれませんので、そういうことも当ホテルでまかなえないか、考えています
建て替えの間、本館のレストランなどを別館に移し、19年まで継続的に運営していく方針。
「たしかに『今のオークラがいい』とおっしゃるお客さまのお声も届いております。また、本館ロビーがなくなっても、レストランは無くさず残してほしいというお声もあります。そうしたご要望にはなるべくお応えします。虎ノ門地区の開発が目白押しで、情報発信力が上がっていくのはありがたいことで、当ホテルもその一翼を担っていきたいです」(ホテル担当者)
(了)
【大根田 康介】
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