脊振の自然を愛する会(福岡市早良区、池田友行代表)の池田代表は、写真をこよなく愛するアマチュア・フォトグラファーでもある。背振の環境保全活動を行ないながら、美しい自然の数々をカメラに収め、写真集「脊振賛歌」を発行した。続編が待たれるなか当連載ではフォトエッセイとして、背振の魅力を紹介する。
初夏6月のある日、沢の撮影で渓谷に入った時、変わった樹木の花を見つけました。「ウリノキ」です。花弁をくるくると巻き上げ、雄しべと雌しべが長く(3cmくらい)たれ下がり、実に変わったかたちをしている花です。神社や弓道場に掛けてある幕の中央に下がっている飾りの房にそっくりです。一度見ると忘れられません。
カメラを向けると、これがなかなか撮影には厄介な場所にあるのがわかります。というのも必ず、少し暗い場所にあり、花は風に揺れているのです。ストロボも用意しているのですが、花本来の色が出ないので、普段はストロボを焚くのは好きではありません。ウリノキの撮影にあたって、仕方なくストロボを使用して撮影しましたが、平面的にしか写っていませんでした。
花の接写で使用するストロボはレンズの廻りに取り付けるリングフラッシュになりますが、私はこれを持っていせん。ですから、ストロボを使わずに撮影する時は、風の揺れを待ってシャターを切ることになります。デジカメはカメラ自体で感度をUPして撮影できるので便利になりました(早いシャッターが切れる)が、フィルム(ポジフルム)ではフィルム自体の感度を選んで装填することになります。ISO50,100,400そして現像時に増刊現像を頼みます(感度の2倍まで可能)
撮影に手間は掛かりますが、それだけ撮り甲斐もあります。毎年、6月中旬~7月上旬になるとウリノキに出会うのが楽しみです。
『ウリノキの不思議な花に魅せられて レンズを向けりしばし待ちつつ』
―やまぼうし―
写真はウリノキの花粉を一杯に付けた蜂です。大人しくじーっと止まってくれていました。
【ヤマボウシ】
<池田友行氏プロフィール>
福岡市早良区在住。1944年3月生まれ
西南学院大学ワンダーフォーゲル部OB。ソニーマーケティング(株)退職後、2008年より早良区と共働で、脊振山系道標設事業や脊振清掃登山に取り組み、中心的役割を果たす。
福岡市早良区の野河内渓谷整備に従事中。
「脊振の自然を愛する会」代表(会員100名)
早良区役所主宰の『早良みなみ塾』自然環境分科会代表
写真集『脊振讃歌』著者
各地で写真セミナー開催、『西日本新聞フォト随想』掲載。
西日本新聞 「風」に、脊振での活動が紹介される。
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