そのほか、同グループでは食品・水質・環境関連の検査((株)シー・アール・シー食品環境衛生研究所)など臨床検査関連だけでなく、医療用消耗品や検査機器・検査試薬の販売((株)シー・アール・シー・サービス)、健康診断支援(西日本健康(株))、病理組織検査・細胞診検査((株)臨床病態医学研究所)など、グループ関連会社の相互連携で事業を展開している。
ここまでのグループ形成に至るには、相応のM&Aを行なってきた。しかし、どの企業にも「一緒にやりましょう」というスタンスだからこそ、このように連携が図れているのだろう。既存の社員並み、もしくはそれ以上の待遇で迎え入れる同社の姿勢が、友好的なM&Aにつながったと考えられる。
新しい結核菌感染診断補助検査「クォンティフェロン®TBゴールド」の拡販に取り組むほか、農作物の残留農薬一斉分析、食品中の異物検査、肉種鑑別DNA検査にも注力している。また、近年、次々と発覚しているホテルや老舗百貨店、有名料理店での食品偽装問題などを背景に、同社で検査した事例をまとめた「異物検査事例集−食品中の異物を中心として−」を13年12月に発刊。本というかたちで人々の「食の安全・安心」をサポートしている。
それ以外にも、食品廃棄物の処理問題にも注目し、微生物を利用し生ごみを水と炭酸ガスに分解する「シンクピア」(製造元:SINKPIA JAPAN(株))を、九州統括代理店として販売を手がけている。こちらも徐々に認知度が広がってきており、今後どのような分野で活用されるか注目が集まる。
「食の安全・安心」に貢献する検査や環境を守るための検査など、「検査」と名の付くものに積極的な姿勢を見せている。
江川会長は、「3年後には創業50周年を迎えることになります。当初はここまでのグループになるとは考えてもみませんでした。これも皆さまとの『ご縁』のおかげです。今後も、地域医療に貢献するとともに今までご縁があった方々への恩返しを、事業を通して行なっていきたいと思います。また、『検査』を通して多くの人材を育てていければと考えております」と語る。
進化する高度医療にともない、これからも検査手法は変化していくだろう。そのすべてに対応しながら、「医」「食」「環境」をミックスさせたさまざまな提案を生み出していくであろう、同グループの動向に注目したい。
(了)
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<COMPANY INFORMATION>
代表取締役会長:江川 洋
所在地:福岡市東区松島3-29-18
設 立:1969年7月
資本金:2,000万円
TEL:092-623-2111
URL:http://www.crc-group.co.jp/
<PROFILE>
江川 洋(えがわ・ひろし)
1940年7月、中国・大連市生まれ。佐賀県浜玉町育ち。唐津東高校卒。九州大学医学部附属衛生検査技師学校(現・九州大学医学部保健学科)を卒業後、同大学中央検査室勤務を経て、67年にセントラル医学研究所(現・(株)シー・アール・シー)を創業。現在、CRCグループの会長を務める。趣味はゴルフ、観劇、読書。
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