今年5月に九州支店を開設した古美術商「本郷美術骨董館」が、6月28日、翌29日の2日間、福岡市博多区で無料鑑定会を開催。200人を超える人々が、絵画、刀剣、掛け軸、茶道具など、さまざまなお宝を持参し、鑑定を依頼した。
専門分野が細かくわかれ、どちらかと言えば閉鎖的な古美術業界。世代交代の時期を迎え、今や2代目、3代目が中心になっている。現在のスタイルは、染谷氏が2代目仲間に呼びかけ、2002年に作ったアンティーク・モールがきっかけだ。当初は、さまざまな分野の古美術品を一同に集めて集客し、販売することが目的であった。しかし、目利きができるプロが集まっていたことで、買い取りの依頼が急増。そのニーズに応える形で、買い取りに力を入れるようになったという。
染谷氏によると、古美術品の買い取りが増加している背景には、まず、日本の高齢化社会と生活様式の変化があるという。「若い世代で古美術品への関心が低いことで、粗末に扱われることを心配して、鑑定を依頼され、買い取りを希望されるご年配の方が増えています。実際に、引っ越しされる際に価値のある掛け軸がゴミとして扱われていたというケースもありました」(染谷氏)。人知れず、消えていったお宝も多いことだろう。
とくに注目されているのは中国の切手。当然ながら、当初は額面で購入できたものだが、10~15万円の価値があるものもある。数は少ないが、プレミアが付いているのは、日中国交正常化を記念して300本配られた酒「貴州茅台」(きしゅうまおたい)。1本500万円から高いものでは1,000万円の値がつくという。なお、酒のほうは投資対象ではなく、中国人が大金をはたいて買って帰り、祝杯を上げるとのこと。中国人投資家の威勢の良さが感じられる。
本郷美術骨董館が年間で取り扱う古美術品の数は5万点。「買い取りの9割は日本のものですが、売上の9割は中国の美術品です」と染谷代表は語る。昔、安くで買えたことから、現在の価値を知らず、中国の古美術品を物置で眠らせていることも少なくはないはず。また、中国美術品ブームは景気を反映したもので、国内情勢によっては一過性のものとなることも十分に考えられる。
同館では、遠方で気軽に足を運べないという人ために、的中率95%の写真査定鑑定も行なっている。気になるお宝が家にある人は、まずは、同館に問い合せしてみてはいかが。
【山下 康太】
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・本郷美術骨董館ホームページ
<SHOP INFORMATION>
本郷美術骨董館 九州支店
所在地:福岡市博多区博多駅前2-10-19 福岡ファンションビル113-B
TEL&FAX:092-260-9977
フリーダイヤル:0120-518-100
E-mail:info@hongou.jp
URL:http://www.hongou.jp/
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