しかしその栄光の影で、下記表からわかるように、2003年の林原の実体純資産は▲507億円、林原を含めた中核4社は、▲619億円の債務超過の状況であった。林原にとっては、現実は虚構であったにもかかわらず、虚構を現実に見せかける文脈で綴られてはいるが、心の中は大きな葛藤の渦に巻き込まれていたに違いなかった。
下表の金融機関向け数値では89年以降、利益はずっと黒字を続けており、純資産もプラスとなっている。しかし、実態数値では純資産は▲62億円の債務超過となっており、おそらく粉飾を始めた1984年にはすでに債務超過に陥っていたと推測される。債務超過を回避するために、その後27年の長い間、粉飾決算を続けることになる。
以後2002年10月期までの18年の間で、損益額でプラスとなったのはトレハロースのヒットによる99年10月期(51億円)の1期のみしかなく、林原の債務超過額は500億円を超えた状態になっているのがわかる。
03年から07年の5期の実体数値では細々と黒字となっているものの、リ-マン・ショックが発生した直後の08年10月期決算では▲10億円となり、5年間の利益累計18億円の半分以上を失った。依然として債務超過額は360億円であり、年間4~5億円の利益では債務超過の解消には100年近くを要する計算となる。
(つづく)
【北山 譲】
◆健康情報サイトはこちら >>
健康情報サイトでは健康・食に関する情報を一括閲覧できるようにしております。
※記事へのご意見はこちら