劇団エーテル主宰の中島淳一氏が７月26日、福岡市内で、一人演劇「ナザレのイエス」を上演する。

　「ナザレのイエス」は、中島氏の代表作。先月は東京芸術劇場（池袋）で上演された。
同演劇について、朗読翻訳家の寺尾昌子さんは専門誌に次のようなコメントを寄せている。

　「実はイエス自身は一言も語ることはない。イエスの代わりに釈放された極悪人バラバと総督ピラトの２人が主な登場人物である。この２人の人物の激白を通して、舞台に掛けられた１枚の大きな薄い布の上に、十字架にかけられたイエスの姿とその澄んだ瞳が浮かび上がってくるように感じられた作品だった。
　 演じるということを体験すると、自分とは違う他人になることの奥深さを感じる。１人の人物を演じきること自体簡単ではないが、何人もの人物をたった１人で演じるには繊細で豊かな心と相当の自我の力・精神力がないとできることではない。氏はその難事を魔法のように美しくやってのける。そして更に驚くのは、緊張感の漂う演技の後。休憩も置かずに再び舞台に現れると、それまでとは打って変わって、非常に軽快でウィットに富んだトークで観客を大いに笑わせるのである。人物から人物への移行、そしてこの舞台とトークとのギャップ。極の幅の大きさが氏の芸術家としての、そして人間としての器の大きさを物語る」（Cultural Creatives'Magazine No.53 Jul. 2006より）

　舞台という空間芸術の醍醐味が五感を震撼させ、人間の潜在能力に肉薄する、このような演劇を鑑賞できる機会は希少だ。

　お申し込みは、メールにて。会場スペースに限りがあるため、満席になり次第締め切りとなる。

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