議員の政務活動費（以下、政活費）のおかしな使途が次々に発覚している。兵庫県議会の野々村竜太郎議員（無所属）が１年間に195回の日帰り出張をしたとして、約300万円を政活費から支出し、領収書を添付せずに報告書を提出していた。195回の内訳は、東京都へ11回、福岡市へ16回、兵庫県佐用町へ63回、同県豊岡市へ105回で、いずれも兵庫県西宮市内から鉄道を使ったものと本人は述べている。2011年度、12年度にも領収書のない遠距離出張が約600万円分あったことも判明した。

　政活費とは、議員の政策立案活動を支援するために、報酬とは別に支給されるもので、自治体によって条例が定められ、その額や使途の範囲が異なる。兵庫県議会では議員1人につき月額50万円が支給されている。それが議員活動に必要なものか検討できるよう、領収書などの証拠書類の写しを添付することが条例によって義務付けられている。おかしな話だが、以前は領収書添付の義務がなかったため、「第２のボーナス」と揶揄した表現で呼ばれていたこともあった。支給された政活費について、年度末に残余があればその分は返還することになっている。以前は政務調査費と呼ばれ、12年夏の改正地方自治法により政活費と名称変更、使途拡大も可能となった。

　今どき領収書が添付されていないのは珍しいケースだが、添付された領収書の公開で問題性があることが判明したケースも過去に多々あった。近年の福岡市では、政活費を自身が代表を務める会社の家賃や人件費に回し、２年間でおよそ100万円を議員自身の経済活動に流用。福岡県では、書籍名・目的が記載されていない書店領収書を38枚提出、10万8,530円の支出があったが何の本を買ったかわからない。また、ある県議は、年度末になって駆け込むように切手を43万6,000円分購入して翌年度に持ち越し、こちらも２年連続で繰り返していた。

　今回の野々村県議の問題については、過去３年間にわたって同じような立証できない交通費としての支出があったことが今になって発覚したことがより根の深い問題だと言えるだろう。領収書が添付されていない支出報告書を３年間受理してきた議会事務局にも問題がある。第三者のチェックに情報公開の手間がかかる自治体もあることから、使途の透明性の確保についても全く不十分だ。たとえば「調査研究のために必要な図書・資料」であれば本来の使途目的からは外れないが、福岡県では「書籍」とだけ書かれ、実際は官能小説やプラモデル（戦車）の専門誌の代金であることは外部から指摘されるまでわからなかったというケースもあった。

【吉井　陸人】

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