<「米国が邦人を救助・輸送」とあり得ない事例再び>
安倍晋三氏は1日の記者会見であらためて「海外で紛争が発生して逃げる日本人を、米国が救助・輸送している時」を持ちだした。国民の心情に訴える効果は大きいが、これは、政府も認めた「ありえない事例」である。
辻本清美衆院議員(民主党)の国会質問に対し、政府は「戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例」が過去に存在しないこと、米政府が他国に対して「すべての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、また米国政府の手段に依存しないこと」を求めていることを認めている(6月11日)。嘘とバレた欺瞞を何回でも平然と使うのは、「振り込め詐欺」をはじめ、世の詐欺師の常である。
<安倍総裁によるクーデター>
今回の閣議決定は、二重の意味でクーデターと同じである。
1つは、閣議決定によって、憲法改正手続きを経ることなく、解釈によって憲法を改正しようとしたこと。
もう1つは、自民党総裁に過ぎない「国政の無資格者」を首相とした閣議の決定であることだ。
重大なのは2つ目だ。「国政の無資格者」という問題を提起しているのは、升永俊英弁護士である。安倍晋三氏は、違憲状態選挙(最高裁判決)で当選した人に過ぎず、違憲状態の選挙は「効力を有しない」(憲法98条1項)ので、「無効の選挙で当選した人でしかないから、憲法98条1項に基づき、『国政の無資格者』だ」というのである。安倍晋三氏は、「違憲状態首相」であり、「国政の無資格者」。つまり、「ニセ首相」である。
閣議決定の内容の是非は、どんなに大問題であっても意見の相違だが、「ニセ首相」には、首相としてのどんな権限もない。ニセ首相が政府を乗っ取り、憲法を改正することがあってはならない。
<違憲状態首相を流行語大賞に>
大阪の1人の市民が、安倍自民党総裁の暴走を止める確実なスローガンを提案している。提案者は、医師の神前格氏(神前内科クリニック院長)で、「安倍違憲状態首相を今年の流行語大賞に」というのだ。東京都議会のセクハラ野次では、「私ではない」と否定していた鈴木章浩都議が国内外の世論の前についに自分だと名乗り出ることになった。「安倍違憲状態首相」が流行語大賞になるくらい、「安倍晋三はニセ首相だ」という国民の認識が広がれば、安倍"首相"は"内閣総辞職"をせざるを得ないはずだ。
日本国憲法前文は、こう宣言している。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」。宣言しているのは、天皇や総理大臣ではなく、国民である。
戦争が始まってからでは遅いが、今ならまだ遅くない。
(了)
【山本 弘之】
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