(1)売上の水増し
売上の水増しは、赤字を解消するためには良く使われる手口である。売上原価も下がり、また営業利益も水増しできる利点がある。林原の場合、債務超過状態を隠すこともできる魔法の杖であり、最大時にはグループ全体で売上金の架空計上が288億円にも上っていたといわれる。
(2)売上高の前倒し計上
さらに架空売上高だけでは辻褄が合わなくなるため、実需である前倒し売上にも次第に手を染めていったものと見られる。
(3)在庫の水増し
在庫の水増しは今でも一般の企業が赤字解消に使うオーソドックスな手口。税務署も本来黒字の企業が在庫調整で赤字を計上すれば牙を剥くが、赤字の企業が在庫を水増しして黒字申告してくれれば、税収もいくらか入るので何ら咎めることはしない。
(4)決算書の改ざん
売上高の水増し、売上高の前倒し計上、在庫の水増し程度ではどうにもならなくなると、売掛金の過大計上、買掛金の過少計上など各勘定科目にも手を入れていくようになる。
最後に手を付けるのは大きな債務である借入金を過少に見せることだ。一行取引では銀行にすぐ見破られてしまうが、借入金が多く、取引銀行が多ければごまかすことができる。林原は融資残高を実際より低く記載する粉飾決算によって健全経営を装い、それを見て金融機関も有利子負債が少ないとの認識からさらなる融資を続け、総額で1,300億円以上に膨れ上がることになった。
林原も当初からそんな手の込んだやり方をしていたわけではないだろうが、こうした粉飾は一度やりだすとなかなか元に戻せないものだ。しかも林原の場合は500億円を超える巨額の債務超過であり、20数年にわたる粉飾決算の膿が倒産という形で表面化した結果ではないだろうか。
(つづく)
【北山 譲】
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