もう1つの大きな変化として、13年7月に行われた「バンク逆潮流の解禁」が挙げられる。受入容量の限界を理由とした電力会社側の受入拒否を、今後、大幅に緩和する施策として業界から歓迎されているものであるが、他方で、求められる技術的水準も上がることを余儀なくされる。ここでも事業者間の差別化が生じることになるのだ。
こうした業界の変化に対し、芝浦グループ各社は迅速な対応を見せている。いち早くグループ内で一貫体制を構築し、バンク逆潮流対策についても、14年2月には日本で初めてバンク逆潮流の対策工事を終えた発電所を稼働させる見通しだ。電力の安定供給に向けて新たな施策の検討も進め、新地会長はCO2の排出がほぼ0(ゼロ)の火力発電所建設構想も口にする。将来的には、自社開発の蓄電池との併用により、さらに効率的な供給体制の構築を掲げている。
次代を担うリーダーの育成と女性の登用にも力を入れる。人材育成・能力開発プログラムを推移し、その第一弾として、13年11月に設立したオーバーシーズ(株)が美容・健康分野に進出したのだ。これは、自社ビル内(親富孝通り・薬院)に、「オーバーシーズ ビューティー&リラクゼーション」を開業し、ハイグレードな「癒し」のサービスを提供するというもの。代表の松枝鏡子氏は、グループ初の女性社長となった。加えて、グループ会社のニューガイアが「mr.kanso」(缶詰バー)のFC事業を展開するなど、飲食店事業への参入も果たした。人材育成のために店を開くとは思いきった話だが、チャンスを求める若者や女性は、今後、競って同社の門を叩くことになるだろう。
この点につき新地氏は「いずれも事業を創ると同時に、社員のなかから次のリーダーを育て、あるいは女性の能力を引き出すことが目的です。ひいては、グループ全体を女性や若者にとって働きやすい体質に変えていくことも、重要なことだと思います」と、その狙いを説明する。
数年後の株式上場を見据え、着々と準備を進める芝浦グループ。今後の展開に注目が集まる。
(了)
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<COMPANY INFORMATION>
代 表:新地 哲己
所在地:北九州市小倉南区上石田4-17-22
設 立:2010年8月
資本金:4億5,400万円
TEL:093-962-6007
URL:http://www.shibaura-group.com/
<PROFILE>
新地 哲己(しんち・てつみ)
1953年4月生まれ。77年10月、シンチデンキを個人創業。84年8月、芝浦特機(株)を設立し代表に就任。2005年、同氏考案の全世帯太陽光発電付賃貸マンション「ニューガイア上石田」が、「第10回新エネ大賞」経済産業大臣賞を受賞。10年8月、メガソーラー発電事業の展開にともないを設立し、代表取締役会長兼CEOに就任。
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