宮崎県延岡市にある九州保健福祉大学で、細胞検査士を養成する「生命医科学部生命医科学科(仮称)」の2015年4月新設に向けて準備が進んでいる。同大学を運営するのは、学校法人順正学園(宮崎県延岡市、加計美也子理事長)。14年8月、文科省に設置届を提出し、9月から本格的に募集を開始する予定。細胞検査士を養成する学部は全国的でも限られており、同大学で募集が始まれば、国内で第8番目、九州では初めてとなる。定員は60名。
細胞検査士とは、ガンなどの疾患を細胞レベルで検査する医療専門職。日本臨床細胞学会の認定試験に合格することで資格が得られる。受験の前に、臨床検査技師(国家資格)の資格取得と細胞診業務への1年以上の従事もしくは大学での専門教育が必要。同学部では、在学中に細胞検査士の受験資格が得られるように認可申請を準備中。
設置にあたって校内のQOL研究機構棟内に「がん細胞研究所」(仮称)を併設。がん幹細胞やiPS細胞のがん化解析などの研究に取り組み、成果を教育に還元することで、最先端の知識を身につけた細胞検査士の育成を行う。
九州保健福祉大学は、宮崎県、延岡市、民間の支援を集約して総額80億円の補助を受けて新設された。新設による直接経済効果は500億円だといわれている。今回の生命医科学科新設についても同市は援助を行っており、地域へのさらなる経済効果が期待される。地域高校へ教授陣が出向く「出前講座」や、高校生を招いての授業を開催するなど市民との交流を深める同大学は、延岡市が取り組む「メディカルタウン構想」や宮崎県と大分県が協同で進める「東九州メディカルバレー構想」へも関わっている。
【黒岩 理恵子】
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