全国でマンション管理を巡るトラブルが続いている。今年に入ってから、主なものでも4件の問題が表面化した。
まず、1月12日に大阪府警南署が、マンションの管理費2,000万円を着服したとして、業務上横領の疑いで大阪市中央区島之内の元管理組合理事長で自称不動産業の男を逮捕した。これは、男が管理組合の理事長を務めていた2008年3月中旬ごろに、住人から集めた管理費など計2,000万円を自分名義の口座に振り込み、横領した疑いによる。
同容疑者は03年4月から09年8月まで6年5カ月間理事長を務めていたが、管理組合の別の役員が不正経理に気付き、09年9月に元理事長を告訴していた。この容疑者は「自分のために使おうと思った。一部を使い込んだ」と供述しており、管理費の使途不明金は約4,500万円。
2月23日には、兵庫県警長田署などが、無登録でマンション管理業を営み、住民が積み立てた管理費など約2,260万円を横領したとして、マンション管理適正化法違反(無登録営業)と業務上横領の疑いで、神戸市兵庫区の無職の男を書類送検した。同容疑者は、02年4月ごろから08年4月まで無登録のまま神戸市内の2カ所のマンション管理を管理組合から請け負い、管理費や修繕費など計約2,260万円を横領したとされる。
3月4日には、大阪市北区のマンション修繕工事を下請けした建築会社から約1,100万円をだまし取ったとして、大阪府警捜査4課が、マンション住民の暴力団組長と建築会社元大阪支店長ら5人を詐欺容疑で逮捕。
また、「東急コミュニティ」では、首都圏13カ所の分譲マンションで、管理事務所で収受した現金を担当者3名が管理組合口座へ入金せずに着服し、約360万円を私的に流用していたことが発覚した。同社は、損害の補てんを行ない、監督官庁に報告したが、社内確認が不徹底であったことを認めている。
マンションの管理費による不正が続発するなか、管理組合には、入出金の管理を含めて、管理費や修繕積立金をガラス張りし、こうした事件を未然に防ぐことが求められている。
【山口】