創業は明治43年4月、設立が昭和26年4月の老舗企業、資本金 1億円、年商100億を超える。木材販売業からスタートしたが、現在では年商の約57%を住宅建築・販売が占めている。残りは不動産販売業と住宅用木材製品のプレレカット加工等が占める。
<福岡に進出して30周年、供給棟数1,100棟>
現支店長の取締役・藤木直幸氏夫妻が乗り込み、福岡支店を開設して以来30年が経過し、引渡し棟数も1,100棟を超えた。去年までの3年間は2006年6月施行の建築基準法改正による住宅不況以来、一昨年のアメリカのサブプライムローン破綻、昨年のリーマンショックを経て遂に2009年の年間新築住宅着工戸数は78万戸にまで減少した。この数字は2008年の109万戸に比べて実に約28%もの市場縮小となった。
しかし、山根木材(株)福岡支店はこの100年に1度と言われる未曾有の不況をものともせずに、受注を伸ばしている元気な企業である。2010年1月末決算でも契約ベースでは70棟、完工棟数で68棟を挙げ対前期比で数量を伸ばしている。ただし、造成工事の遅れで6物件の土地の開発許可申請が2010年2月以降に延期されたため、藤木支店長としては一寸悔しい思いをした。
福岡支店の着工棟数の80%以上が建売分譲物件であるため、土地の仕込みに最も気を遣う。ここに藤木支店長の優れた才覚が現れる。同支店長の頭には福岡市周辺の地区毎の売れ筋価格帯が詳細に詰まっている。購入年齢層は30代前半が中心になるので、小中学校のどの校区になるのか、その子達が高校入学時期になるとどの高校を受験できるのか、通勤の最寄り駅が何処で、自宅から何分で行けるのか等を詳細に調べたうえで、どのような区割りをすれば売れ筋価格帯に納まるか等綿密な計算をしてから土地の購入を決めている。
勿論、土地の購入に併行して上もののプランニングを進めていく。住宅の向きから間取りプラン、コーディネイト力、設備機器もそこらのローコスト住宅分譲業と差別化を図るために時代の要請に合わせた機器を設置している。
最近のキーワードは『エコ』。前期の完工物件中12棟に太陽光発電パネルを搭載した。採用メーカーは「シャープ」、「京セラ」、面白いのはハイブリッドカーから将来の電気自動車への対応を図る「ホンダ」等である。しかし山根木材の物件は建売分譲住宅が主流であるために残念ながら屋根面積が小さいために、小型パネルまで品揃えしている「シャープ」製品に軍配が上がるとのことである。内装壁紙も安物のクロスは使わずにシックハウス対策品を採用している。当然床材も同様の配慮を行っている。
「茶山の家」(福岡市城南区茶山4-17-5)では高断熱高気密住宅を採用し併せて街並み造りに配慮している。
福岡にも関東地区からパワービルダーと称される、狭小地に総2階建ての分譲住宅を建築、「供給する分譲業者群が乗り込んできているが、建物の品質で圧倒的な差を付けているのでお客様も違いを充分理解してくれている」という。ここらのデザインや間取り等は営業担当者が「お客様の目線」を意識して商品開発を要求し、設計および工務担当者が充分に汲み取り商品化している。
支店長の土地の仕込みの上手さに営業、技術陣が客の側に立った商品開発を行なっているので「鬼に金棒」。だが、同社の更なる強みは「アフターメンテナンス」の良さであろう。
定期点検は勿論であるが、客の要望に即座に対応するフットワークの良さも充分だ。
2011年1月期はこの「アフターメンテナンス」の良さから得た信用で1,100棟のOB施主に加え、新規の「リフォーム」工事の受注が大きく伸びそうだという。また建売36棟に加え、売り建て物件36棟の計72棟の新築工事を見込んでいる。
藤木支店長の見込では土地の価格はまだまだ下がるという。また、独居老人になったひとり暮らしの高齢者が子供たちと同居していた大きな土地と建物を持て余し、特別養護老人ホームに入居したり、関東・関西地区に住む子供たちとの同居に踏切る人達が増えて土地を手放す例が増加しているという。こういった事情で持ち込まれる土地を購入し2~3分割し分譲していけるという。なお、同社が開発していく土地は交通の便へのアクセスも良い。
【徳島】