アンチエイジングをコンセプトに高齢層にアピール
林兼産業(株)(山口県下関市、電話:083-266-1191)は弾性繊維を豊富に含むカツオ動脈球を原料にした海洋性エラスチンペプチド『カツオエラスチン』を扱っている。エラスチンとは、皮膚の真皮やじん帯、腱、血管壁など伸縮性の必要なからだの器官にひろく含まれている構成成分で、コラーゲン同様に細胞外で働く繊維状のたんぱく質で弾性がある。組織に柔軟性を与える成分とされ、美容業界などで注目されてきた。さらに食経験のある原料として安全性にも定評がある。また同社は、高齢者用ソフト食『ソフミート』も開発しており、2月9日~10日まで東京ビッグサイトで開催されている医療・介護の「メディケア・フーズ展」(UBMメディア主催)にも出展している。同社機能性食品部長の清木雅雄部長に話を聞いた。
<エビデンスの確立で差別化図る>
3年前に機能性素材製造プラントを竣工し、商品開発および量産体制については確立しています。エビデンスも充実しており、ヒト由来細胞を使用した培養系での評価のほか、30代から40代の女性を対象にしたエラスチン配合サプリメント摂取による肌への影響について継続的に試験を行なっています。
今の健康食品市場は玉石混交の状態です。バイヤーによって安価な素材が輸入され、粗悪品が出回っているようなことも聞きます。エラスチンに関しても同様な実態が考えられます。確かなデータをバックボーンにして売り出しても、なかなか消費者に認知されないというジレンマがあります。グレードごとに仕分け作業をやっていただけるような、そういう仕組みづくりを業界全体で整備していただければと感じます。
アンチエイジング・メタボ対応素材の守備範囲にはかなりの幅があります。現在の訴求はやや美容のほうに傾斜していますが、本来は血管系として血管の構成成分のメインがエラスチンなので、大学といっしょになって血管によい作用に関するエビデンスの取得を進めているところです。すでにいろいろと結果が出ていますから、そのへんを踏まえて、アンチエイジング予防素材として売り出していきたい。さらに、じん帯はほとんどがエラスチンによってできています。老化により柔軟性を失うことで劣化していくじん帯などについても、研究によって有用性を見出したいと考えています。新しい分野としてスポーツドリンクなどの予防素材として、ストーリー性をもった訴求を行なっていきたいと考えています。
【文・構成:田代 宏】
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