マインドの高い事業者を会員に
自然食品でも健康食品でも、そういうマインドがあるかどうかというところです。
そうでない人は、「これで売れるから」「ユーザーが求めているから」ということで取り扱いを行なっています。しかしNPO全健協の加盟社は、「これがいいんだよ」「食卓にはこれが必要なのだよ」というマインドを持って、「子どもたちにとってこういう食品が必要なのだよ」という気持ちで取り扱わなければならないのです。百貨店、スーパーがどう思っているかは知りませんが、少なくとも全健協にはそういうマインドがあります。
全盛期には400を超えていた加盟店も、今では300までに減りました。もともとNPO全健協というのは自然食品の専門小売店の集まりですが、専門店自体が減少しているのです。(縮小の)原因をさらに突き詰めれば、消費者が減っている一方で、専門小売店のマインドがなくなっているからでしょう。
われわれの食品を食べて、余命何カ月と言われた癌から生還した、というお客さまの話を実際に聞いて、何とかそういうお客さまを幸せにしたいという一念で30年も40年もやってきたマインドの高い昔の店主に比べると、二代目や三代目のモチベーションは低いことでしょう。
食品というものは究極のところ、経済効率だけを追求しながら研ぎ澄ませていくという製造方法とはなじまないのではないか。つまり、安ければいいというのは、工業製品や一定の規格基準が決まっている製品であれば、精度を上げるなどして成り立つかもしれませんが、こと食品に関しては、「安全・安心」を追求し、あるいは「機能」を追求し、「伝統」を追求しているわけですから、そういう意味では、価格訴求だけではなじまないのではないかと思います。私は科学者でもないし医者でもないので、どれだけ摂取すればどれだけ体が良くなる、悪くなるということは証明できません。しかし、お客さま自身が、添加物のない日本食は体に良く、長寿の秘訣であるということを肌で感じておられると思うのです。それを実行し、結果的に病気にならないことが社会コストが下がり、幸せになるということを理解されていらっしゃいます。
そうはいっても景気が景気ですから、オーガニックだなんだと言ってみたところで、スーパーより3割も4割も高いものは買うことができないとおっしゃる方も多いでしょう。それでも、体に良いものを食べて健康を維持できるという意味では、お客さまのおっしゃられるトータルのコスト面ではかえって安上がりになるはずです。
【文・構成:田代 宏】
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