1月29日、(株)エス・エム・シー(山口県下関市)が袋詰精米に不適正な表示を行なっていたとして農林水産省から是正指示を受けた件について、同社代表取締役の清原啓氏は、「表示に関して認識不足だった」と自らの非を認めたうえで、是正指示に至るまでの経緯を次のとおり語った。
同社は毎年、特定の農家(生産者)から袋詰めの米(5kg)を仕入れて会員約12~13人に対して販売を続けてきた。販売価格約4,500円(送料込)に対して、仕入値は3,000円前後。5kg入り精米の送料を差し引くと「ほとんど利益が出ない状態」だったという。それでも、古くからのお客さまだったとのことで、「会員へのサービスの一環」として販売は続けた。また、「消費者のためによかれと考え」て、生産者を信じ、『夢つくしあいがも米』、『ヒノヒカリあいがも米』などと記したシールを商品に添付して販売した。これが不適正表示とみなされて、農政事務所からの指導を受けることになる。
わが国のJAS法(農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律)における「玄米及び精米品質表示基準」では、未検査米の原料玄米に品種を表す用語を用いることは禁じられているからだ。生産者は検査を行なっていなかったのである。
「昨年の秋ごろ、突然、農政事務所から2~3人の検査官がやってきた」という。是正指示があった1月まで5~6回にもわたり、ときには一日中におよぶともあったらしい。
並行して仕入先の農家にも出入りし、商品が未検査米であることを確認していた。生産者側では、かつては農協で検査していたようだが、数年前に農協に依頼したときに「農協を通さない米は検査しない」と拒否されて以来、検査を怠っていたという(但し、現在は検査可能)。
たしかに、悪意をもって判断するならば、『夢つくし』あるいは『ヒノヒカリ』以外の米が、故意あるいは偶然に混じってしまっていると言えなくはない。少なくとも混じっていないとは言い切れない。
清原社長は、「こちらのチェック不足だった」と反省し、以後、米の販売は取り止めている。また現在、販売するすべての食品について表示の点検を行ない、改善報告書を提出する準備を進めている。
食品表示のアドバイザーとして知られる(株)ラベルバンクの川合裕之氏によれば、このような「うっかり表示」が多いという。
【田代】
▼関連リンク
『株式会社エス・エム・シーが販売した袋詰精米の不適正表示に対する是正措置について』(農林水産省ホームページ)