天神バスセンターから直方方面へ高速バスで約30分、立花山インターチェンジを降りてほど近いところに「花峰クラブ」が拠点とするクラブハウスがある。会員ひとりひとりの「健康と経済の安定」さらに「秩序・調和・尊敬・感謝の心を忘れることのない華と品格のある人生」を願って、2008年11月に開設された。周辺には1,200本・38種類の花卉が手入れの行きとどいた姿で植えられている。
敷地は約300坪、標高367メートルの立花山を東方に拝し、二階建ての母屋と八角形の屋根を持つ堂宇が建つ。経営するのは(株)エレガントジャパン(福岡市博多区、代表取締役:野元多津子)のロハス事業部。週末になると県内外から数十名の会員が集い、持ち寄った食材で料理の腕をふるう。その間、子どもたちは山登りをしたりボール遊びをしたり、野良猫と戯れたりと、都会では味わえない自由時間を堪能する。
米は薪をくべたかまどで炊かれている。食材は、会員がクラブハウスにやって来る途中で摘んできたつくしやみつば、前夜エレガントジャパンの社員のひとりが徹夜で仕入れてきた有明海の竹崎牡蠣、これがずた袋に満杯。ほかにはシイタケ、ナバなどのキノコ類など、会員めいめいが持ち寄ったナチュラルな食材ばかり。スーパーやコンビニで買い集めたものは一切ない。
日本山人参茶で味の調整
料理には化学調味料も使わない。米は缶入り『日本山人参茶』でとぐ。煮物や炊き物も同様。「こうすれば臭みが消え、素材そのものの味が一層引き出される」という。「天ぷらなんて、翌日もころもがパリッとしとるとよ」会員が口をそろえてそういう。
「老若男女は問わず、縁故は1つ」と提言する野元社長のもと、会員が結束して各々の役割を手際よくこなしてゆく。高千穂峡の眺めさながらに荘厳だ。
出来上がったのは「芽キャベツとワケギの酢みそ和え」「菜の花のおしたし」「つくしの煮込み」「わらびの煮込み」「よもぎ入りの甘辛だんご」「日本山人参+みつば+きのこのおにぎり」――そして牡蠣ときのこと里芋の網焼きと、食べきれないほどの手料理の数々。牡蠣の殻をあけると牡蠣汁が滴り落ちる。里芋は皮を剥いて粗塩を振って食べる。文字通り、生の食材の味が口中にまたたくまにひろがる。
余ったものはめいめいがお土産にして持ち帰るそうだ。またかまどの灰も持ち帰り、茶碗磨きやわらびの灰汁抜きに利用しているらしい。つつましやかな営みを立花連峰がしずかに見守っている。春の立花山が微笑みかけているようだ。
詳しくは、4月発行予定の『I・B春期特集号/テーマ:食と健康』で紹介する。
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