■書いてある内容は適切か
では、品質表示を仕事とする視点から、どのように商品を見分けるのかを説明しましょう。主なポイントをざっと列挙することにします。個々の詳しい見方については後日解説することにします。
まず、書いてある内容が「適切か」どうかを見極めてみます。ここで、書いてある内容が「正しいか」どうかまでは、さすがに判断は難しいと思われます。したがって先に書いたように、情報の中身よりも情報の出し方に着目してみましょう。
1)会社名とお客様相談窓口の有無を見る
商品を手にとったら、最初に知っている企業かどうかを確認するようにします。 一括表示ラベルの一番下にある、「販売者」「製造者」「加工者」「輸入者」を確認してみます(これら呼び方の違いによる信頼の差は、特にありません)。
表示した内容に責任を持つという意味で企業名が書かれてあり、実質その商品に対しての窓口となるものと考えればいいでしょう。まったく知らない企業のブランドであっても、よい商品というのはたくさんあるからです。
商品の大きさ(表示可能面積)にもよりますが、「お客様相談窓口」として、電話番号やホームページのURLが表示されているものが望ましいでしょう。例えば、「アレルギー物質の表示は推奨の18品目まで含まれているのか」などと質問したときに、製造者側に回答できる体制が整っているということでもある。これは、安全性を確保するうえでたいへん大きな違いです。
2)食品である旨を確認する
次に、健康食品であることを確認します。
ジュースやヨーグルトなど、明らかに食品の形状をしているもの(明らか食品という)は特に困らないのですが、例えば、ドラッグストアに置いてある、箱に入っているようなサプリメントなど、一見すると薬なのか、そうでないのかが分かりにくいものです。
医薬品と食品の違いは、「成分と形状、使用方法」の違いです。食品では使用できない成分(アロエの液汁等※葉肉は食品でもOK)、形状(アンプル剤等)、使用方法(摂取量や時期の指定等)などのルールがあるということです。
そこで、パッケージ前面に「食品」である旨を表示してあるかどうかを確認しましょう。医薬品や医薬部外品でない限り、「食品」の表示がなければならないのです。
食品には「特定保健用食品」、「特別用途食品」、「栄養機能食品」、「保健機能食品」のように法的に定められている呼称のほか、「サプリメント」「栄養補助食品」「健康食品」「健康補助食品」という法的な定義のないものもあります。このばあい、「特定健康食品」「栄養保健食品」など紛らわしい呼称を勝手につけることは禁止されています。
食品である旨を表示できていなければ、食品と医薬品の違いによる表示ルールを知らない企業である可能性があります。つまり、医薬品でしか使用できない(副作用など摂取に注意を要する)成分が入っている可能性について、どうしても不安が残ってしまいます。
パッケージに書いてある商品名やキャッチコピーのうち、 過度に病気の回復などを期待される表現があれば、その商品は見送った方がいいでしょう。なぜなら、食品では、医薬品と誤認させるような「効能効果の暗示」が禁止されているからです。ここで大切なのは、その度合いを測ることです。
<プロフィール>
川合裕之(かわい ひろゆき)
香川大学卒業後、明星食品(株)に就職。営業職のかたわら、エリア向け商品の開発にも携わる。独立後、03年に(株)ラベルバンクを設立。食品表示の視点から安全性・機能性に関するコンサルティングを行なう。商品販売のためのプロモーションも手がける。
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