1.ビタミンB2(リボフラビン)
ビタミンB2(リボフラビン)が欠乏すると口角炎(口の端がきれ、カサブタができる)、口唇炎(唇がはれて赤くなる)、舌炎(舌がはれて痛みや灼熱感を伴う)などの口のまわりの症状や、脂漏性皮膚炎(小鼻の脇などに脂肪のブツブツが出来る)、眼瞼炎、眼精疲労などの目や鼻の症状がしばしば見られる。
ビタミンB2には、体内にできた過酸化脂質の分解や消去の作用を助ける働きがある。過酸化脂質は動脈硬化や心臓病などの生活習慣病の誘引になっている物質なので、生活習慣病の予防のためにB2が不足しないようにする必要がある。
ビタミンB2を含むビタミン剤を摂ると、尿が黄色くなる。1933年にドイツのワールブルグによってB2が黄色の色素として取り出され、同年、ドイツのクーンによりB2の単離・合成・構造決定がなされた。翌年の34年にスイスのカラーが、リボフラビンと名付けた。B2は体内では活性型のFAD(フラビン・アデニン・ジヌクレオチド)の形で存在する。
2.ビタミンB6(ピリドキシン)
ドイツのP.ジエルジーは、1934~35年にかけて、イギリスのケンブリッジでビタミンB欠乏食で飼育したラットに生じた皮膚炎がB2(リボフラビン)では治らないため、酵母の抽出物を与えたところ治ったことから、酵母に含まれる皮膚炎予防因子をビタミンB6と名付けた。38年には世界の複数の研究所から、B6の結晶・分離が報告され、39年にビタミンB6は、ジエルジーによりピリドキシンと命名された。
タンパク質の成分であるアミノ酸の合成や分解にかかわる酵素に対しB6は補酵素として働くので、B6が不足するとアミノ酸代謝に異常が起こる。従って、タンパク質を多く摂る時は、B6を多く摂ることを心掛ける必要がある。女性の月経前に頭痛やウツ状態などの不定愁訴に悩む「月経前症候群(PMS)」に、ビタミンB6(ピリドキシン)の摂取が有効であるとの報告もある。ピル(経口避妊薬)を服用する女性も、B6を積極的に摂取することが必要である。
(つづく)
<プロフィール>
伊藤 仁(いとう ひとし)
1966年に早稲田大学を卒業後、ビタミンのパイオニアで世界最大のビタミンメーカーRoche(ロシュ)社(本社:スイス)日本法人、日本ロシュ(株)に就職。「ビタミン広報センター」の創設・運営に関わる。01年から06年まで(財)日本健康・栄養食品協会に在籍。その間、健康食品部でJHFAマークの規格基準の設定業務に携わる。栄養食品部長を最後に退任。