今年度予算は漢方のみ
――山根先生が統合医療を後押しされるきっかけになったのは、医療費問題にあるのですか。
山根 私は統合医療というものについて昔から漠然と考えておりました。というのも、若い時分に医歯薬出版というところに勤務しており、マッサージ、鍼灸、リハビリなどを担当し、世界各国の伝統医療に接しておりました。そしてそれらが西洋医学と融合できないものかと、漠然とではありますがずっと考えていたのです。医療費削減というのは後からの話で、若い頃からこのように漠然と考えていました。
当時は統合医療という言葉もなかったし、「そうなればいいな」くらいにイメージとして心のなかで温めていたものです。
――統合医療に関して予算10億円が計上されましたが、これが漢方に限られた理由は何でしょうか?
山根 それは議連でやったものではなく、鈴木寛文部科学副大臣や足立信也厚生労働大臣政務官の主導の下、政府のほうでやったことなので理由はわかりません。(漢方のほうが)よりわかりやすいということだったのでしょうか。
――1月28日の山根先生による国会質問の後、長妻厚労相の答弁どおりに「統合医療プロジェクトチーム」が設置され、2月5日に初会合を行なわれました。今後、窓口の一本化の見通しはいかがでしょうか?
山根 窓口はプロジェクトチームということになるでしょうから、後はそこで短期・中期・長期の目標が設定され、システムがつくられていくと思います。
医師会の動きを注視
――今後すすめていかれるなかで、統合医療は超党派ですすめる事態も考えられますか。
山根 政治的な話になってたいへん恐縮ではありますが、医師会長の選挙(4月1日投開票)をどう考えるかということで違った影響を受けるということが実際あるでしょうね。自民党は医師会に気兼ねして統合医療を進められなかったという現実がありますから、今後われわれは医師会とも、政権与党として当然新しいお付き合いができてくるでしょうけれども、医師会の体制・考え方がどうなるのかということによって進んでいく話だろうと思いますよ。
過去に議連がつくられたのも与党ペースでつくられてきて、主要なポストは与党が握っており、全国民的なイメージを醸成するということで野党にも呼びかけて勉強会をやっていくということが多かったのです。民主党政権としては、そのような戦略的なことは考えず、実質的なところでやっていこうよということで進めていくとすれば、党派の再構築をもう1度やらざるをえないでしょう。そこで自民党の方々をはじめ、他党の方々がどのようなかたちで参画していただけるのかわかりませんが、まずは党と政府の方針を固めるのが最優先ではないでしょうか。
【田代 宏】