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表示規制の狭間で揺れる健康食品(5)~表示にすがる健食の功罪(中)「シャンピニオンエキス(1)」

2010年4月13日 10:56

通販会社7社に排除命令


 2009年2月3日、「シャンピニオンエキス」を配合した健康食品で消臭効果をうたう健康食品製造および販売会社に対し、公正取引委員会(以下、公取委)が排除措置命令を下した。通販大手の(株)DHC(東京都中央区)など健康食品を取り扱う7社が処分を受けた。
「シャンピニオンエキス」とは、口臭等を消すキノコ由来の成分で、健康食品の素材開発会社(株)リコム(東京都豊島区、代表取締役:浜屋忠生)が開発したオリジナル素材。公取委は、同素材を配合した7社の商品の表示に対し、「各表示がいずれも一般消費者に対し、実際のものよりも著しく優良であると示すことで、不当に顧客を誘引し、公正な競争を阻害するおそれがあると認められる表示とみなされる」(優良誤認表示)として、口臭や体臭・便臭を消す合理的な根拠を示すための資料の提出を求めた。しかし各社が提出した資料に合理的な根拠は認められなかった。
 全国で、シャンピニオンエキスを供給できるのはリコムの1社だけ。リコムは上記措置に対して、「(同措置が)7社との取引を不可能、あるいは著しく困難にするおそれがあり、また、7社との紛争を生じさせかねない」と不利益を主張、7社に対する排除命令の取り消しを公取委に求めた。


公取委が原料の有効性否定


 ところが2010年2月26日、公取委はリコムが申請していた審判請求に対して却下の審決を下すことになる。
 審判請求が却下された主な理由は以下のとおり。
 (1)リコム社は排除命令の受命者ではないため、審判請求適格はない、(2)排除命令はリコム社に対して下されたものではなく、7社の商品の表示に対して行なわれたもので、同社の利害にはかかわらない――の2点。
 公取委では、「排除措置はあくまで7社が販売していた特定の商品の、しかも表示に対して行なわれたもの」とし、「(リコムが製造している)シャンピニオンエキスに関して行なったものではない」と述べるとともに、リコムの利益は景表法にのっとって保護されるべき対象には当たらないとの根拠を示している。
 ただし、排除措置が下された当初、記者会見に応じた公取委は、「『原料に有効性を示す根拠がないのですね』との記者の質問を肯定した」(リコム)という。
 会見に不満を抱いたリコム側は審判請求に踏み切ることにした。

(つづく)

【田代】

▼関連リンク
シャンピニオンエキスによる口臭・体臭及び便臭を消す効果を標ぼうする商品の製造販売業者に対する排除命令について


株式会社リコムに対する審判開始について(シャンピニオンエキスによる口臭,体臭及び便臭を消す効果を標ぼうする商品の不当表示事件)


株式会社リコムに対する審決について(シャンピニオンエキスによる口臭,体臭及び便臭を消す効果を標ぼうする商品の不当表示事件)

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