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表示規制の狭間で揺れる健康食品(6)~表示にすがる健食の功罪(下)「えがおの黒酢(3)」

2010年4月21日 14:57

 (株)通販新聞社(東京都文京区)があたかも(株)えがお(熊本市東本町)が薬事法違反で処分を受けたかのような記事を書いたのが昨年(2009年)12月11日のことだった。
 実際には、東京都の薬事監視課から熊本県薬務課への通報が行なわれ、熊本県は直ちにえがおに対して広告を改善するよう指導を行なっている。えがおも速やかに指導に対処して、「おなかポッコリ」などいくつかの表現に関して月内に改善報告を済ませている。
 しかし業界に対する衝撃は大きかったようで、「えがおの薬事法違反」が一部において事実以上に誇張されて伝わったようだ。話は他の表示の問題にまで及び、その頃から「120倍」の信憑性が業界内で問われ始めたと思われる。
 ある業界団体関係者は、えがおを「確信犯」的だとして名指しで批判していた。
 「一般食酢の約120倍のアミノ酸でぜい肉の悩みに、さようなら!」などの表示に関してのものだ。
 「120倍」という表示が、全商品に対して安定的に120倍なのかという問いに対しては、えがお側も非公式に否定している。
 「データもあるし、アミノ酸量もある。が、壺の中で作るものだから一定ではない。出荷ベースごとにチェックしているので、120倍がすべて適用できるのかどうかは、調べたことはないのでわからない」(同社)としている。
 一般の消費者がこれを耳にしたら、それだけで「ひどい!」と裏切られた気持ちになるかもしれないが、黒酢自体はスプレードライ法や凍結乾燥法で粉末に加工されてカプセルに充填されるため、壷の中の黒酢自身のアミノ酸量のチェックというのは必要とされないだろうし、無理かもしれない。この場合に当てはまるかどうかはわからないが、法的にもある一定範囲での誤差は許されている。
 コメント自体、製法に通暁しないか、あえて真相をぼかした弁としか受け取れない。少なくとも、えがおのなかでは「120倍」との表示を取り止めようという動きがあったとされているからだ。
 しかしむしろ問題は、「何に対しての120倍なのか」、何よりも、「120倍の中身は何なのか」にある。


▼関連リンク
2009年12月11日「週間通販新聞」ホームページ


2010年3月、福岡市内で全国紙に折り込まれたチラシ

(つづく)
【田代】

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