少子高齢社会における食と健康~伝統食と健康食品と医療の三位一体を目指して
参議院副議長の山東昭子氏は、健康食品業界を代表する(財)日本健康・栄養食品(東京都新宿区)の会長を務める。また同氏は自民党食育調査会長も務め「食育基本法」を立法化したことでも知られている。超高齢社会の到来を間近に控え、「元気な120才を創る会」の理事として健康長寿社会の実現も目指している。同氏に食育を通した将来の日本のあり方、また健康食品業界の課題と展望について聞いた。
日本食に誇りとパワーを
――統合医療ということですね。
山東 そう。統合医療ということばをドクターはだいたい気に入らないようですが、私は日頃からスペシャル医療ということばでやればよいといっているのですよ(笑)。現代医療は金太郎飴的な似たような治療とか医療のありかたを患者に押し付けようとしすぎています。まあそうすれば公平だといわれるからそういうことを求めているわけですけれども、じつは心の底では、人によってさまざまな生活があるわけです。今ではお金を出せる人にも安い治療を受けてもらって国にお金が入って来ない。ちゃんとお金を出せる人には付加価値をつけてあげないと、医療は崩れますよ、崩壊します。
やっぱり東洋と西洋のいろんな見地から、食生活も健康食品も治療法も、あらゆるものを駆使してこれからの日本人の健康づくりに力を入れていくべきだと思います。
それだけではなく、これから日本が発展していくための大きなカギとして地域の発展ということの裏には、健康と美と観光と、そういうものが一つになって、世界のいろいろな国でも観光に力を入れ、「エステ」とか「ダイエット」などいろいろなことを総合的に考えて、それに対して、これはちゃんとしたことだということで、国ではなくて民間が施設にお墨付きを与えれば、お金のある人はそこに行ってお金をかけて美しくなって帰ってくる。そこにプラスアルファ美味しいレストランとかカジノとか、そういうものを含めて、お金を落としてくれる場所をつくるということが地域の発展にかかわるのではないでしょうか。
――食と健康に関して21世紀の課題と展望をお聞かせください。
山東 日本食を世界に向けて発信する。それだけの誇りとパワーをつけることです。日本人は謙遜がちな人種ですが、日本食のすばらしさは世界が評価していることなのですから、みなさん自信を持って、日本の食べものは長寿の元だし、おまけにおいしい。外国の大使あたりに日本食をお出しすると、目から入ってくる美しさがあるとみなさん感激してくださいます。
だからあまり謙遜しすぎずに、もっと前面に押し出していくことですよ。日本全体が自信をもってほしいですね。そしてカロリー計算をしながら、美しく、おいしいものをつくっていく、それがそれぞれの地域でそれぞれの地域の個性を生かした食べものであるということ、それが日本全体をそれぞれ活性化させる大きな力の源になると思っております。
――ありがとうございました。
【田代 宏】
<プロフィール>
山東 昭子(さんとう あきこ)
11歳で芸能界入り、女優・司会・レポーターとしてテレビ、映画、雑誌で活躍。
74年参議院全国区に32歳の最年少で初当選。以後、6回当選、参議院で環境委員長、外務委員長を歴任。党では女性局長、環境部会長をはじめ教育・福祉・住宅対策・外交関係を担当。
90年我が国6人目の女性大臣として科学技術庁長官に就任。自民党両院議員総会長、食育調査会長などを務め、参議院自民党を代表するベテラン政治家として幅広く活動中。NPO法人「元気な120才を創る会」理事も務め、健康長寿社会の実現を目指している。趣味はゴルフ、音楽鑑賞。