5.低価格になればなるほど、消費者は価格のみを重視する
リーマンショック以降の消費者動向調査で、食品、家電製品、自動車、ファッション衣料の4ジャンルにおいて、値下げをすればするほど消費者における価格の重要度が増すとの調査結果が出た。
たとえば食品では、価格が相場平均であるとき、重要視する消費者は48.9%。価格が相場平均の2割安くなると約59.6%の消費者が重要視するとしている。同様に他の3つのジャンルでも2割安くなった場合、約10ポイント上昇する結果である。
逆に相場平均の2割高い場合は、価格の重要度が約10ポイント下がり、信頼、安心、安全といった非価格要素の重要度が増すことになる。
具体的な例として、現在、「吉野家」、「松屋」、「すき屋」などで牛丼の値下げ競争が繰り広げられている。店側が安さを追求すると、消費者は、味やサービスといった非価格要素は軽視し、より低価格の牛丼を食す傾向が強まる。結果、際限なき価格競争が始まり、業界全体が落ち込む可能性が高まることになる。
(つづく)
※なお、本調査について経産省は「2009年12月18日から同月20日まで、電子メールによるアンケート調査を約100万人分の消費者に対して発送し、3,000人分のサンプルを収集した」としている。また、補完調査として、消費者グループインタビューを10年2月実施、企業アンケート調査を同年1月から2月まで実施したとしている。