改訂に伴い問い合わせが増加
今回実施された診療報酬改定では、調剤報酬点数を大幅に引き上げることで調剤薬局や病院のインセンティブの向上を図った。従来は1枚の処方箋で4点(40円)分が加算されていた調剤報酬点数に対し、改訂後はGEの取り扱い数に応じて加算点数を引き上げようというもの。
後発品の取り扱い処方箋が全体の20%以上25%未満の場合は6点、25%以上30%未満で13点、30%以上の場合は17点にまで引き上げられる。患者1人当たり最大13点の開きがある。
「これまでは処方箋でがんじがらめにされ、貰えなかったものが貰えるようになった。マーケットは確実に広がるだろう」と話すのは、福岡市内で医薬品卸を営む(株)健将(福岡市東区)代表取締役の箕浦将昭氏。同氏は2年前から自社のホームページで「ジェネリッくん」というキャラクターを用いてジェネリック医薬品の普及啓発を推進してきた。
診療報酬改訂後の状況について、「ジェネリックに指定されている薬かどうかの問い合わせが増えた」という。主に医療機関や調剤薬局からの問い合わせで、見積もりの依頼や取引が増えているなか、ホームページへのアクセスも増えた」という。
一方で、「業界の競争は激化するだろう」と展望を分析、対策として、「開業医や中小規模の医療機関を対象に、お客を開拓していきたい」という。
また市内に店舗を構える調剤薬局に改訂後の反響を聞いたところ、「問い合わせはここ数年少しずつ増えてきたが、改訂後に急に増えたということはない」と断った上で、「(仮に問い合わせが増えても)日頃から備えているのであたふたすることはない」ときっぱり答えた。
国民皆保険制度の行き詰まりによって徐々に表舞台に押し出された感のあるGE。福岡県内では着実に根を張りつつあるようにも思われる。福岡市内の調剤薬局では、有名落語家を用いたキャンペーンを行なっているところもある(写真参照)。とはいうものの、欧米先進諸国で約半数といわれるシェアに比べれば、わが国全体を眺めるとまだ20%程度と普及率は低い。大洋薬品工業のような不祥事が続けば、失速も危ぶまれる。健全な市場の成長のために、「誰のためのジェネリックなのか」を問い直し続ける必要がありそうだ。