中島憲一郎教授は、覚せい剤関連化合物の研究に長年従事してきたこの分野の第一人者。2002年に死亡者まで出した、「中国製ダイエット食品」(無承認無許可医薬品)の成分分析も行っている。研究室では、「覚せい剤など乱用薬物の分析」「医薬品の適正使用に関する研究」「脳内神経伝達物質の分析研究」のほかに、「機能性食品の品質評価」も大きなテーマに掲げている。健康食品にも大きな関心を寄せており、これまでにも赤野菜やノニ、冬虫夏草などで分析研究を行なってきた。同氏に健康食品に関心を持ったきっかけや、健康食品の孕む課題、展望について聞いた。
健康食品のカテゴリーを設けるべき
――消費者庁で「健康食品の表示に関する検討会」が開催されています。
中島 表示については、特定保健用食品の表示の在り方が1つの参考になると思うのですが、あそこまですべてのものを厳しくするのは難しいでしょうから、3段階位の表示のありかたを考えていただいて、「これはほんとうに相互作用がありそう」「効きそう」だというものはかなりきちんと表示をすべきでしょうが、そうでないもの、毒にも薬にもならないというと怒られそうですが、そういうものだと認識しているものは、大きな成分だけを表示すればよいと思います。
食品ですので医薬品と違って取り締まりの対象にするのはなかなか難しいと思うのですね。いくら表示をしなさいといっても、中身がその表示通りかどうかを調べるとなると大変だろうなと思います。できれば国の機関なり大学も含めていいと思いますが、そういうところでちゃんと調べましたという表示を付けてもらう。そのために第三者認証がお金儲けをするのではなく、国の支援としてきちんと表示をさせる。ただしそれをやらないものはすべて認めないというくらいのものをやれば、3段階位のレベルで調べていけばいいのではないかと思いますね。一番上のクラスは動物実験までを含んだくらいのものになるかもしれませんが、そこまで厳しくしなくていいようなものというのは、毒が入っていませんよ、有害なものが入っていませんよくらいの表示は必要でしょうね。それを各県の大学や公的な研究機関で調べてもらう。その費用をすべてその人たちに課すのではなくて、国が国民の健康を守るという立場からそういう人たちに支援するとか、そういうことがシステムとしてできればいいかなと思っています。
また、本来でしたら健康食品のカテゴリーをきちんと設けた方がベストではないかと思います。そうしたうえで、そのカテゴリーに該当しないものはまがい物として処罰の対象にすべきではないでしょうか。
――ありがとうございました。
【聞き手 田代 宏】