2024年12月27日( 金 )

城井立憲県連代表主導の参議院公募の在り方に異論続出(後)

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 年内の衆議院解散がささやかれるなか、来夏の参議院をめぐって各党の候補者選びが行われている。福岡選挙区は3議席があり、うち1つは、野党の指定席となってきた。最大野党の立憲民主党福岡県連(城井崇代表)は、13日の常任幹事会で公募を行うことを決めたが、その在り方に党内から異論が聞こえてくる。

13年参院選公募は現職の不祥事が発端

 今回、立憲民主党が参議院福岡選挙区で候補者の公募を行うが、実は立憲の前身である旧民主党時代にも公認候補を公募で選んだことがある。

 2013年の参院選に向けて、民主党として全国初の試みであった。公募を行った理由は、当時の現職議員の不祥事が背景にあった。当時の現職は、農林水産副大臣を務めていた岩本司氏だが、2期目で、3選を目指していた。だが、2011年に自身の政治資金管理団体「岩本つかさ後援会」が政治資金パーティで集めたカネを使い、キャバクラ遊びに興じていたことが発覚した。岩本氏は、慌てて会見を開いて釈明したが、当然、民主党県連内で岩本氏の資質が問われることとなった。

 このときの同党県連会長は、野田国義氏。野田氏は、2012年の総選挙でかつて仕えた古賀誠元自民党幹事長の元秘書・自民党新人の藤丸敏氏に福岡7区で敗れ、比例復活もならず落選していた浪人時期である。

 このときの公募に野田氏が応じ、12年の衆院選で広島1区から出馬して落選した経済評論家の野中幸市氏との一騎打ちとなり、党員・サポーターによる投票の結果、野田氏が選出された。県内3カ所で公開討論会が行われたが、野田氏は、政権に復帰した安倍政権の掲げるアベノミクスは「大企業・富裕層を向いた政策」であると指摘し、野中氏は「文書・交通費含めた国会議員の報酬3,000万円を5割カットし、襟を正すべき」と訴えた。

 両者の議論は、現在、自民党の政治資金問題を機に議論となっている内容と重なるが、このときは、自民党に対抗する二大政党の在り方を求めた野田氏に軍配が上がった。

 それから12年が経過したが、立憲のなかで野田氏に対する評価はよいとはいえない。参議院はいうまでもなく全県区であり、北九州市から南は大牟田市までそのエリアは広大だ。地域性も工業地域の北九州市、旧産炭地の筑豊地域、九州の中心地・福岡市と周辺の都市圏、そして久留米市など農業が盛んな筑後地域と幅広い。

 当然、幅広い目配り・気配りが求められるが、野田氏は事務所を県南の八女市にのみおいており、全県的とはいえない。

若手議員らから幅広い公募を求める声

 野田氏の取り組みに対する評価は分かれているが、13日の常任幹事会でも野田氏を下すべきという発言はなかった。むしろ、公募の要件が現職に有利ではないかという見方が強い。たとえば、当初は立憲の党籍が2年以上必要であることや2つ以上の総支部の推薦が必要という条件が課されていた。衆議院の候補や地方議員に関しては、そうした規制はなく、なぜ参議院だけにそうした規制をかけるのか異論が出されていた。

 それに対する執行部の回答は、「参議院は、立憲の看板で立候補した場合、当選がほぼ間違いなく、人物をよく見て判断すべきだ」として、一定の規制を課したという。

 ある若手の議員は「最初から対象を狭めず、さまざまな候補者が出ていいと思います。そのなかからふるいにかけ、議論を重ねて慎重に選ぶことが大事ではないでしょうか」と語った。

 公募期間も限られるなか、さまざまな条件を課すことで、国民の思いに基づいた幅広い視点をもった候補者が手を上げにくくなるという若手議員の指摘は最もだろう。

 城井氏は、2013年参院選と同様の公募というかたちをとり、あたかも民主的に開かれた選出が行われるというが、党内で異論が出ているように、条件を課すことで候補者が出にくい状況をつくっており、なぜ、野田氏に有利な方法をごり押ししたのか。

 今後もこの問題を取り上げていくが、会員向けの有料政治メルマガで連載していく予定である。ご関心のある方は、ぜひメルマガの購読をお勧めする。

(了)

【近藤将勝】

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