22年地価公示は「ららぽーと効果」顕著に(後)
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21年7月時点の地価調査では、天神・博多エリアの拡大、ららぽーと福岡、七隈線延伸による価格上昇が目立ったが、今回の地価公示も傾向に大きな変化はなかった。これらを支えるのは、商業地では「天神ビッグバン」「博多コネクティッド」などの再開発、住宅地では旺盛な住宅需要だ。再開発においては、これから新築ビルが順次完成していく局面を迎える。ただし、「それほどオフィス需要は増えるのか?」と懸念する声は根強く、とくに大型の再開発ビルの動向には注意が必要だろう。また、活況な住宅需要を支える超低金利住宅ローンのほか、ウッドショックをはじめとする原材料費高騰などの影響にも、注意が必要だ。
鑑定士が読む2022年地価公示
よりそい不動産鑑定 代表取締役
扇 幸一郎 氏今回の地価公示(国交省)は、昨年7月時点の地価調査(都道府県)と同じく、福岡市の地価上昇が目立ちました。福岡市の地価公示は、住宅地・商業地いずれも10年連続で上昇を続けています。コロナ禍ではありましたが、人口増加や住宅取得支援施策などで住宅需要も堅調だったことから、住宅地の地価は上昇を継続。また、商業地でも天神と博多のまちの拡張による影響で、周辺の地価が高騰を続けています。とくに博多周辺では、「七隈線延伸」「ららぽーと福岡開業」などが影響しているものと見られます。
ららぽーと福岡の影響がこれまでと違うのは、「未開発の土地」が多く残されていたことです。また、中心部のマンション価格高騰の影響もあるでしょう。ららぽーと福岡の周辺では、マンション開発が相次いでいますが、主な地価押し上げ要因はこれらマンション開発によるものだと思われます。
さらに、注目すべきは「工業地」の地価上昇です。世界的に物流施設への投資は増加しており、九州では九州道・古賀IC~鳥栖ICで物流施設の開発が続いています。このエリアの物流施設需要は逼迫している状況で、これからも有力な投資対象として、開発は継続されるでしょう。引き続き、地価は上昇すると見られます。
<プロフィール>
扇 幸一郎(おおぎ・こういちろう)
1967年3月、大阪市出身。89年、大手鑑定事務所・大和不動産鑑定(株)に入社。95年、不動産鑑定士登録。奈良、大阪、東京を経て、九州支社に勤務。2019年4月、よりそい不動産鑑定(株)を設立し、代表取締役に就任した。
<COMPANY INFORMATION>
よりそい不動産鑑定(株)
代 表:扇 幸一郎
所在地:福岡市中央区大名2-4-38
チサンマンション天神Ⅲ209
設 立:2019年4月
TEL:092-753-9680
URL:https://www.yorisoi.co.jp(了)
【永上 隼人】
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