<金持ち子弟しかエリート教育を享受できない>
上海から西へ430kmのところに、安徽省の省都・合肥市がある。人口約480万の都市だ。ここに「上海・浦東地区と同様の大規模な開発計画が進んでいる」ことを耳にして、取材へ行った。予想を超えた規模の開発である。中国中央政府からもケタ違いの資金が投入されているのであろう。中国では『地方の開発』を重点政策にしている。合肥市は、この政策のモデル地区になるのは間違いない。
ところでこの取材を通じて違和感を覚えたことがある。エリート教育についてだ。中心部から35km外れたところに高層マンションが林立している。その真ん中に合肥市の名門中学校が移ってきているのだ。安徽省の金持ちがぜひ、子弟を入学させたい名門中学校である。入学させるには、周辺のマンションを買い住民票を変動させることが条件だ。安徽省のリッチ階層はこぞってマンションを買い漁るそうである。
なかでも名門進学中学校「合肥市第一中学」は寮制を敷いている。月曜日から金曜日までみっちりと鍛えられる。金曜の夕方には、迎えの高級車がズラリ横付けされるそうで、それは壮観だとか(残念ながら取材当日は日曜日で目撃できず)。
資本主義社会の日本よりも社会主義社会の中国の方が、金を持たないと子どもの英才教育は不可能なようだ。本当に面白い社会である。
【児玉 直】
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