あんくると事業統合にらむ
ターゲットは『団塊の世代』
CGCと取り組み拡大
㈱西鉄ストア
㈱西鉄ストアは、西鉄グループ傘下に入った㈱あんくるふじやとの共同事業展開を本格化する。将来の経営統合をにらみ、7月からまず物流を一本化する。商品面ではシジシー(CGC)からの調達を拡大することで原価を引き下げ、ディスカウントストア(DS)やドラッグストアと対抗する。
西鉄ストア香椎店
西鉄ストアはあんくるふじやに6月下旬、有馬紀顕前社長を送り込んだのに合わせ、事業面での一体化を進める。第一弾として7月から加工食品と菓子の物流を西鉄ストア篠栗物流センターに統合する。生鮮食品と、専門店で展開している酒類は統合対象に含まない。あんくるふじやは独自の物流体制を持たず、ベンダーが店舗配送していた。
あんくるふじやは西鉄ストアの物流システムと一体化することで、コストの削減や機会損失の減少、在庫回転の向上といった効果を期待できる。西鉄ストアにとっても物流センターの稼働率を向上できるメリットがある。
将来は、仕入統合も視野に入れている。両社の売上を単純合計すると約830億円。規模拡大を仕入原価低減につなげない手はない。
香椎店順調な出足
ゴールデンウィークの5月2日、西鉄貝塚線香椎駅前にオープンした香椎店。売場面積は235坪(約780㎡)と同社店舗では小ぶりだが、駅前の好立地もあって、終日買い物客でにぎわう。なかでもひときわ人気なのが、弁当・惣菜チェーン、㈱ヒライ(本社:熊本市)の運営する惣菜売場。西鉄ストアは同じシジシー加盟企業のよしみもあって、専門の同社に惣菜売場テコ入れを託することにした。
「惣菜が牽引車になって出足は計画(年商7億円)を上回る」(同社)。惣菜比率は10%と同社平均の8%を超える。
前期の売上は99%弱とわずかだが、前年実績を下回った。増収が至上命題の今期は、香椎店のほか、9月ホームセンターから転換する旧ダイクス飯倉店(3月末閉鎖)と12月に増床し建て替える三瀦店が戦力に加わる。飯倉店は売場面積400坪、三瀦店は500坪になる予定で、いずれもベーカリーを導入する。
一方で、競争も激化している。昨年11月にはスピナマート中井店近くにハローデイ井掘店、同12月にはルミエール春日店、今年3月到津店近くに丸久と競合が相次いで進出。今期もコスモス薬品とダイレックスが同社店舗周辺に進出する見込みだ。
低価格需要にも対応
競合と戦う武器に位置づけるのがCGC商品。シジシージャパンは全国の食品スーパー(SM)など227社が加入、総売上高は4兆円とイオンに匹敵し、本部取扱高(共同仕入高)は8,000億円に上る。地場の中堅中小SMがコスト競争力の強化を求めてシジシーに加入するケースが増えており、ヒライは低コストの食材を調達するため、九州シジシーに加盟した。
九州シジシーはプライベートブランド(PB)の開発販売が主な業務だったが、昨年春からナショナルブランドの共同仕入れに着手。仕入と物流を九州シジシーに集約することで原価を引き下げ、加盟企業に低コストで商品供給していく。
西鉄ストアはシジシーからの商品調達を増やすことで、コスト競争力の強化を進める。低価格を求める需要に対しては、シジシーのPBを活用する。品質と低価格を追求したシジシーのPBは、DSやドラッグの低価格商品との競争では優位に立てると見ている。
課題は客単価の引き上げ。1人当たりの平均購入点数は8点台、平均単価は1,600円台で、1,600~1,800円台とされる福岡県のSMではややもの足りない。高質路線を標榜し県内でもトップクラスのハローデイとは、300円以上の開きがある。
購入点数と客単価は、スーパーの商品力のバロメーターとされる。同社はまず需要の多い重点商品を定め、それら商品については欠品防止を徹底することで買上点数の引き上げを図る。
取締役販売部長 秦 直己 氏
客単価を引き上げる
取締役販売部長 秦 直己 氏
5月オープンした香椎店は、地域密着の一環として鮮魚売場に地元の専門店さんを導入した。惣菜も、専門のヒライさんに入ってもらった。おかげで売上は予算を上回る滑り出しだ。なかでも、惣菜は売上比率が当社平均の8%を上回る10%を超え好調だ。ヒライさんは同じシジシーグループの一員でもあり、店舗運営でも勉強になるところが多い。今後も手薄な部門は直営にこだわらず、テナントを活用する。
今期は、秋にダイクス飯倉店を食品スーパーに転換させるのに続き、12月三瀦店を建て替え、150坪から400坪(1,320㎡)に増床する。駐車場も80台収容に増強する。ほかに2店を改装する。三瀦、飯倉店とも生鮮4品は直営で運営するが、新たにベーカリーをテナントで導入する。弱い部門はこうしたかたちで補強する。
今期の売上は増収を目指す。課題は客単価の引き上げだ。現在、平均買上点数は8点強、金額は1,600円台にとどまる。点数と単価を上げるため、牛乳やこまぎれ肉など需要の多い商品を重点商品に定めて大量陳列し、欠品をなくすといった取り組みをしていく。
顧客の価格志向に対してはCGC開発商品で対応する。ディスカウントストアやドラッグストアにも対抗できる。