『ありがとう』を大切に、人と人との関わりこそが仕事の原点(後)
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天国社グループ本社
独自性ある付加価値の創造と提供
以前放映されていた同社のテレビCMは、福岡市民の誰もが知るほど有名なCMであった。しかし現在では、放映されていない。中井代表は、「CMはやめました。天国社の名前は浸透し、その役目は充分に果たしました。そしてCMをやっているから価格が高いというイメージを一新するためでした」と語る。
CMに投下してきた予算を現在は、葬儀そのものへ投下する。「ご遺族の方々のご意向に沿った葬儀をとり行うことを実践しております。限られた時間のなかでよりきめ細かくお話をうかがいます。そしてご遺族と我々が一緒に葬儀をつくります。たとえば故人の方が好きだったビールを祭壇に並べる、ステーキがお好きであった故人には、その場で焼いて祭壇にお供えする、音楽の生演奏をするなど、それぞれのご意向に寄り添った葬儀をつくり、行います。このような付加価値をつけた企画に対して予算を投じております」(中井代表)。
一方で、金銭的などの諸事情で通常の葬儀を行えないご遺族の方々に対しては、最小限の葬儀を提案する。出棺時に棺のなかに供える花のサービスなど同社がサポートできる範囲で、故人を送り出すケースも存在する。さまざまなケースに対して誠心誠意寄り添う同社の仕事への姿勢が反映されている。中井代表は、「原点に戻ることですね。仕事の原点に立ち返ることでした。原点とは、誠実に誠意を込めた仕事をする、葬儀を提供することです」と述べている。
それぞれの葬儀の事例をストックし、社員全員で共有する。そして新たなサービスをつくるための議論が、社内で行われている。以前は一匹狼的な手法で仕事を行ってきたものが、全社一丸となり皆でつくり上げようという気運が高まっている。この円滑な社内のコミュニケーションによって、お客さまからのお礼の言葉、お叱り・クレームの言葉も共有され、中井代表にもすぐに伝達される。お叱り・クレームに対しては中井代表自ら、手紙や電話などで即座に対応する。その迅速な対応は同社のファンづくりの一助となる。また、中井代表と社員一同はSNSを有効に活用し、同社を身近に感じてファンになってもらえるような情報発信を日々行っている。そのほか、お通夜に出される料理は通常なら精進料理とされているが、ご遺族の好きな料理を選んでもらうなど、固定観念にとらわれないサービスも行っている。葬儀には古来の『しきたり・決めごと』によって制約される部分が多々ある。そのような『しきたり・決めごと』を廃して、ご遺族の意向──お客さまの目線で仕事をすること、押しつけないという姿勢である。その根底には、同社の人を尊重するという理念が浸透しているのだ。中井代表は、亡き母親の月命日には必ず墓参りする。その中井代表の温かな心が全社に伝わっている。人との関わりのなかで「ありがとう」を大切にした姿勢で仕事づくりを実践する同社。今後の新たな価値創造に期待が高まる。
(了)
<COMPANY INFORMATION>
代 表:中井 健雄
所在地:福岡市西区姪浜駅南2-20-25
設 立:1987年6月
資本金:2,000万円
TEL:092-883-4949
URL:http://www.tengokusya.co.jp/<プロフィール>
中井 健雄
1974年7月14日生まれ。福岡市西区出身。イギリスパングボーンカレッジ卒。メリルリンチ証券を経て2001年に天国社に入社。14年6月に代表取締役社長に就任。趣味は旅行、食べ歩き。関連キーワード
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