日中ビジネス交渉人 徐静波の日本企業へのメッセ―ジ
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10月中旬、中国共産党19回全国代表大会を取材するため、私は北京へ向かった。1997年に第15回大会を取材してから、20年間で5回目の取材となる。
北京人民大会堂で行われた開幕式において、習近平総書記が政治報告を行った。これは彼が中国の最高指導者になって初めての政治報告であり、彼は3時間あまりの時間をかけて、終始穏やかな口調で報告書を読み終えた。2階の記者席でこの報告を聞いた私の脳裏には「自信」の2文字が浮かんでいた。彼にはある種の泰然としたリーダーの魅力を湛えていた。
「習近平は感情的にならない人だ。どのような困難があっても、焦った様子をみせず、気持ちをコントロールできる。」これは彼の古い部下である浙江省長袁家軍の発言だ。
これまでの5年間、激しい反腐敗運動にしろ、「一帯一路」の発展戦略の推進にしろ、とにかく習近平はある種の自信に満ちた態度で中国の問題に向き合い、そして一つ一つ解決してきた。今回の政治報告を読み上げる際も、すべての外国記者を括目させた。
通常、中国共産党全国代表大会は5年に一度開かれる。今年の大会の主な内容はどのようなものであったのだろうか?
私が最も重要と感じたのは、「新内閣」の組閣ではなく、習総書記が中国共産党の歴史における地位を確立したことである。改定後の党規約において、「習近平の新時代における中国の特徴的な社会主義思想」の文言が初めて記載され、思想について全面的かつ体系的な記述がなされた。これはただ名前が記載されただけではない。前例のないことである。というのは、習氏は総書記を退任しても、中国は彼の思想と作った目標に沿って発展して行く。
中国共産党の96年の歴史上、個人の名前から名づけられた「思想」は「毛沢東思想」ただ一つである。そして今回の「習近平思想」の誕生は世論にとって、中国共産党の歴史的な地位において、習総書記はすでに毛沢東と並ぶところまできていると考えられるものだ。習近平は政治報告の中で、毛沢東が中国を「立ち上がらせ」、鄧小平が中国を「富ませ」てきた、そして今、中国を「強く」して、中華人民共和国の100周年の暁(2049年)には、中国を全世界から尊敬される「社会主義強国」にすると語った。「中国を強くする」、これこそが習総書記の言う「新時代」である。そしてこの時代の習近平思想について、党規約にはすでに「長期的・徹底的に行わらなければならない」としている。つまり、「習近平思想」は今後数十年、ひいては百年単位で中国の未来を照らす灯なのだ。
習総書記は政治報告の中で、中国の改革発展の成果を世界各国にもたらすこと、中国の経験を世界の経験とすることを繰り返し強調した。つまり、彼は社会主義国家の成功モデルをつくり、発展途上国、ひいては欧米などの先進国に学ばせ、「資本主義社会ではない民主統治、社会主義も成功できる」という心理を世界に作り出したいのだ。もし中国の成功例を、世界の一部の国が発展のために学ぶべきモデルにすることができれば、習総書記は単なる中国のリーダーではなく、世界のリーダーとなる。これこそが習総書記の自信である。彼は自分の能力を、自分が率いる国を信じている。彼は彼の国民が彼とともに、彼の指す方向と目標に向かって進んでくれることを信じているのだ。
これは習総書記の「チャイニーズドリーム」であり、彼の「ワールドドリーム」でもある。そしてこの夢が、中国の人民を鼓舞している。30年後、中国はきっと世界の中心になる。中国のルールが世界のルールになる、そして中国人も、世界で一番幸せな国民になる。
今回の中国共産党全国代表大会が、中国の発展における新時代の幕開けとなったことは疑いようもない。そしてこの新時代における各段階の発展目標は、すべて習総書記の政治報告に盛り込まれている。世界各国、特に隣人たる日本は、どのようにして中国の新しい勃興に向き合うべきだろうか?これは困難かつ重要な課題である。
「習総書記は大した指導者だ、そして誠実に対話ができる指導者だ」――これが第19回全国代表大会を取材し、人民大会堂を後にした私の印象である。
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