2024年11月28日( 木 )

カンボジア視察レポート(後)~「リトル・エンジェル孤児院」訪問

記事を保存する

保存した記事はマイページからいつでも閲覧いただけます。

印刷
お問い合わせ

 今回のカンボジア視察のメインイベントはトゥールポンロー中学校(kodama school)の卒業生に卒業証書を授与することだが、学校に向かう前にプリアコー遺跡近くの「リトル・エンジェル孤児院」を訪問することになっていた。この孤児院を運営するラッタナ氏は幼少期に両親を亡くしため、お寺に入ったという。そのなかで、勉学に勤しみつつスバエク(影絵の人形)つくりを覚えたとのこと。ラッタナ氏は同じ境遇の孤児たちのために2002年に孤児院を開設。運営を行いながら孤児たちの指導にあたってきたそうだ。

いろいろな作品が籠のなかにあり販売されている

作業風景

 開設直後は5人ほどの子どもたちであったが、現在は約70人が在籍しているとのこと。子どもたちはスバエクつくりを学び、各々完成した製品を販売して生活と営んでいる。子どもたちは1日の半分は学校に行き、学校が終わるとスバエクつくりに携わるという。

 店舗兼作業所に入ると、子どもたちは言葉を交わすこともなく一心不乱に製作に取り組んでいる。店内では大きな作品から小さな作品まで、様々なスバエクを販売しており、価格も1ドルからとリーズナブルであった。そこで、お土産用にと3つほど手に取ってレジへ。レジ係も子どもが担当しており、皆で協力していることがわかる。レジ係が会計簿みたいなノートになにやら書きつけたかと思うと、奥から3人の子どもたちを呼んできた。

 最初なぜその子どもたちが来たのかわからなかった。しばらくして分かったのだが、購入した3つの商品を作った子どもたちを呼んだのだ。3人は両手を合わせお辞儀し、感謝の気持ちを言葉にした。こちらも慌てて両手を合わせたものの、彼らの真剣なまなざしと比べ、軽い気持ちで購入しようとした自分が恥ずかしい。

製作者の3人

至る所にスバエクがある

 自分たちのほかに、欧米人の団体が来ていたが、誰もが興味津々で見ていたのが印象的であった。孤児に生きていくための手に職をつけるために開設された「リトル・エンジェル孤児院」。アンコールワットなどの遺跡群の観光もよいが、子どもたちを支援するためにもこのような施設に足を運ぶこともおすすめである。

大作を展示

団体の観光客

(了)
【道山 憲一】

 

(前)
(番外編)

関連記事