2024年11月28日( 木 )

ニューヨーク進出で好調のQBハウス(中)

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稼ぐためのニューヨーク進出

 海外実績のある企業ですら戸惑うニューヨーク(NY)進出の難しさ。多様な価値観のなかで特徴を打ち出すことや高額なコストと折り合いをつける価格を設定するのは容易ではない。進出した日系企業のなかには採算に目をつぶり世界へ発信する「広告代」と割り切る企業もある。QBハウスでも、従業員のモチベーションアップという効果があるという。しかし、目的は宣伝ばかりではない。稼ぐためのニューヨーク進出だ。

 活かされているのはアジアでの経験だ。同社は香港57店、シンガポール35店、台湾24店を展開する。香港、シンガポールの両市にはヘアカットの免許制度がなく、手塩にかけて育てたスタッフたちが翌日からライバルになるという苦い経験も味わった。悪戦苦闘のなか、テナント店舗内の空きスペースやトイレ横など人気のない場所で少しずつ実績を重ねて店舗網を広げていった。教育の成果もあり、アジアの離職率は低下し、今では10%以下になった。

 ローカライズ(現地化)にも積極的に取り組んでいる。NY店でいえば日本より濃いめのロゴの色や白いシャツがそれに当たる。NY1号店は日本の「おもてなし」を打ち出すために日本人スタッフをそろえたが、今後は現地スタッフを増員してさらにNYに溶け込んでいく考えだ。

 家賃の高さも香港、シンガポールで経験済みだ。街が成熟しているNYは、値上がり率が安定しているが、シンガポールでは経済発展が影響し、家賃の急騰を経験。繁盛店が契約満了ともに退店を余儀なくされたこともあった。「NYが難しいのはたしかだが、成熟している分勝負が早い」(古谷氏)。勝負がつく期間は3カ月。「いろいろなリスクを想定しダメな場合は瞬殺される可能性もあった」(古谷氏)が、半年が経過しようとするNYでも順調に顧客を増やしている。5店舗、10店舗、それぞれのステージで壁が来るというが、それを乗り越えて50店舗を目指していく。

(つづく)

<INFORMATION>
151 East 43rd Street
New York, NY 10017
E-mail:info@qbhouseusa.com
営業時間:月曜~金曜 午前8時~午後8時
     土曜・日曜 午前9時~午後6時

 
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