巧妙化する手口 外国人不法就労事件の裏側
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外国人留学生の不法就労問題が大きく報道されているが、外国人移住者が多い東京や大阪などの大都市だけの問題ではない。
今月、福岡で外国人が起こした、ある刑事事件を傍聴した。被告は20代のベトナム人元留学生。罪状は窃盗、傷害、入管法違反だ。被告は市内のスーパーで万引きしようとしたが、店員に発見され、止めに入った店長を振り切ろうとケガを負わせた。逮捕後の調査で、在留期限切れのオーバーステイが発覚。さらに配偶者の在留カードを偽造して使用したこともわかっており、次々に違法行為が判明している。
被告は留学生として、来日。東京の日本語学校を卒業後に、福岡へ。今年7月には在留期限を過ぎていた。被告の配偶者はベトナムから技能実習生として来日したが、熊本での実習期間中に失踪。その後、偽造在留カードの写しを使用し、アルバイトをしていたこともわかっている。
被告、そしてその配偶者ともに、最初の滞在地は福岡県外である。ベトナム人のネットワークを頼りに、福岡へ来て、暮らし始めたのだろう。スマホさえあれば、SNSでつながれる時代だけに、かつてとは比較にならないほど情報は溢れている。違法行為の手口も複雑化している。
現に、偽造されたという在留カードは実物ではなく、在留カードの画像データだったようだ。カードそのものを偽造しなくても、アルバイトの採用面接で提出するのは、在留カードの写し。画像をプリントして提出すれば、カードそのものは必要ない。在留カードは偽造しにくいよう加工がされてあり、真偽の判別は比較的容易。「原本のチェックはなく、コピーがあればいい」――アルバイトの採用事情をよく知り尽くした犯行だともいえる。
【東城 洋平】
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